皇帝の初恋

「はあ?真田の初恋?」

膨らませていたのガムをぱちんと壊して、口の中に戻ったガムをもぎゅもぎゅと噛みながら丸井先輩が言った。少しだけ、顔を歪まして悩んだ素振りを見せた。ちなみに、後ろから仁王先輩が丸井先輩を抱き締めてる。(いちゃいちゃ、してんじゃねぇ!)

「そうッス!」

考える様な素振りを見せたため、もしや知っているのかと思いひそかに淡い期待を持つ。

「…真田の初恋とか、知るかよ。それ以前に知りたくもねぇー」

そんなオレの思いをぶち壊すようにケラケラ笑いながら、ガムを膨らませる丸井先輩。くそ、期待したオレがバカだった!と自己反省会を開けば、丸井先輩を後ろから抱き締めていた仁王先輩が口を開いた。あ、仁王先輩なら知ってるんじゃねぇ?弱味みたいなの握る感じするし。柳生先輩もそんな風にみえるし。

「ブン太」
「ん、なんだよぃ」
「俺の初恋知りたい?」
「誰?」
「もちろん、ブン太じゃ」

真田副部長の初恋相手を知れるかと思ったら、仁王先輩の初恋相手だ?んなの、知りたくねぇよ!ああ、くそ。なんだよ、まともに聞いてくれる先輩がいやしねぇ!柳生先輩に聞いたら、「真田くんの初恋相手ですか!それは是非とも知りたいですね」だし、柳先輩は「さあ、誰だろうな」で終わるし。幸村部長に至っては、聞こうと思えば隣にいつも真田副部長が居て無理だしよお。はあ。ってか、いつまでいちゃいちゃしてんッスか!なにが、ブン太好いとーよだっつの!!後輩をちっとは、可愛がってくださいよ。

「はあ、もういいッス」

いちゃこらする、先輩達はほっといて最後の頼みであるジャッカル先輩の元へ行こうと背を向ければ赤也と呼ばれ、呼ばれたそちらに振り替えればにやりとホクロで輝く口許を釣り上げて

「赤也、真田の初恋は幸村ぜよ。初恋ゆうても現在進行形でもラブじゃが」

じゃあの、と言ってから丸井先輩と去っていた仁王先輩に固まる。フリーズしてから少し時間が経ってから先ほどの仁王先輩の言葉を思い出す。っ、…ええ!?さ、さな真田副部長の初恋がゆゆ、幸村ぶぶぶ部長!?あの、幸村部長が初恋相手…うわ、世の中何があるかわかんねぇな。…にしても仁王先輩知らないように見せかけて知ってんのかよ。やっぱりこえーな、仁王先輩は。あ、部活行かねぇと真田副部長に怒られる!

(ん?現在進行形って、英語の文法かなんか?)
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