白い病室でキミと

くすくす、女の様に上品な笑いが少しばかり薬品の臭いが漂う真っ白い病室に響く。それを聞きながら、笑っている相手、幸村に問いただす。

「なに笑っとるんじゃ」
「ふふ、ふはっ…拗ねないでよ、仁王。あー、笑ったよ久しぶりに」
「笑うんじゃなか…」

幸村はオレが拗ねとると言ったから、頬を膨らませ口を尖らせてぶーぶー言ってみた。すると、再び笑い出す幸村。どんだけ、人を笑えば気が済むのかのうこいつは。そんなことを思っていたら、幸村は形の良い唇を開いて言葉を出した。

「だってさ、仁王授業とかサボってるって言ったろ?だったら、何しに学校行くのかと面白くなってさ」

笑いの制で出てきた涙を、指で拭いながらオレを見つめてくる幸村の奇麗な瞳にドキッと胸が高鳴る。あー、狙っとるんかこいつは。ドキドキ、と何度も何度も高鳴る心臓が痛い。

「…お前さんのためかのー」

こちらばかりが振り回させるなんて、ごめんじゃ。それに不公平だ。だから、お返しに普段のオレが言わないような台詞を吐く。おまけに、幸村の手に優しく自分の手を重ねる。

そうすれば、びくっとなり肩に掛けているカーディガンを揺らした。そんな光景を見て、ついついにやける。

「ば、かじゃないの…仁王の癖に生意気だよ」

頬を少し染めて睨み付けてくる幸村に、そう睨みなさんなと言ってから窓から外へと目をやった。

(はよ、元気になりんしゃい)
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