新婚さんいらっしゃい!

※大学生・同棲設定

抱き締めていいんだよな?今、俺抱き締めていいところだよな?だってよ、講義が終わって愛しくて愛しくてたまらない恋人がいる家に帰れば、晩御飯を作っていたのかエプロンを着けた恋人が玄関で“おかえり"の言葉と“あの新婚ならではの台詞"を添えて言ってくれたんだぜ?抱き締めなきゃなにするんだっての。

「和成?」

誰かに説明しているかのように、ひとり葛藤していれば恋人もとい征ちゃんがこてんと首を傾げて名前を呼んできた。ふつうさ、大学生の青年が首傾げても可愛くない筈だろ、なのになんで可愛いの。征ちゃんマジック?なんか、笑えねぇ。そんなこと考えながら、またひっそりと葛藤もしながら謝罪の言葉を返す。返事しなかったことについてのだ。

「あ、ごめん」
「べつに構わないけど、聞こえなかったかい?聞こえなかったならもう一度言うけど」
「いや、きこ…」

否定しようとして気づいた、聞こえなかったと言えばもう一度征ちゃんの先ほどの発言、新婚ならではの台詞が聞けれるということを。だから、ばっちり聞こえたけどここは嘘をつく。

「き、聞こえなかった」
「そうか、ならもう一度だけ言おう。お風呂かご飯どっちにする?それとも僕にするかい?」

っしゃ!本日二度目ありがとうございます!うわ、あの征ちゃんがこんな台詞を言うなんて考えられないよなあ。高校出て一緒に住んだら結構変わったからな。こういうなんつうの、お茶目なとこ?も増えてきたしよ。ま、それがたまに俺以外にも見せちまうから許せねぇんだけど。

「和成」

また俺が返事を返さなかったから、名前を呼ばれる。んじゃまあ、にやけて口許が緩みまくりながら返してあげますか。にっこり笑いながら、くりくりした征ちゃんの瞳を見つめて口を開いた。

「もちろん、征ちゃんで」

(わかってたけど、“言ってみただけだ"と笑顔で返された)
(ちぇっ)
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