捕らえたら、逃がさない 怖い、怖い、恐怖が今俺の全てを支配していく。征ちゃんが今、包丁を持って俺の前に立っている。え、なに今日俺の命日かなんなの?とか思ったりして恐怖に襲われてたけど、征ちゃんに声をかけた。 「せ、征ちゃん」 そう呼びかければ、閉じてあった唇を征ちゃんはけだるそうに軽く開く。それを見ていると何度もしているキスの感触を思い出した。…どんだけ、俺欲求不満なんだよ。 「なんだい、和成」 「なんで、包丁持ってんの?」 「…包丁を見れば、料理していることを悟れるだろう?ホークアイだかイーグルアイだかしらないけど、その目は飾りかい?」 そう言われた後にはっ、と鼻で笑われた。…いや、別に鼻で笑われたのはいいけどさ、イーグルアイって俺じゃねぇし。 「征ちゃん」 「だから料理だとっ、ん」 自分の能力を他のやつと混ぜられて、むかっと無性にさせられたから唇を塞いでやった。征ちゃんが息を乱して必死に酸素を取り込もうとする姿が非常に愛しい。そして、口を開けた瞬間に舌を入れると身体を震わせ手に持っていた包丁を下に落とした。がしゃっという音を立てて足元に落ちたが、それを俺は一度だけ目にしただけで包丁の柄を足で蹴って遠くにやった。さ、もう逃がさないぜ征ちゃん。 (ま、この後に叱られたのは当然のこと) |