あらあら?今日は素直?

「ほんま、うまそうに食うな」

ぽろり、と心の中だけで秘めておこうとしておった言葉をつい溢してしもうた。あ、と思った時には既に遅し。目の前に座ってた善哉好きな後輩がこちらを睨み付けとった。

「うまそうに食ったらあかんのですか」
「ちゃう!ちゃうって!ひ、表情がええなって褒めてん!」

光の機嫌を損ねれば、気が許すまで無視されるから必死に弁解する。先輩なのにダサいかもしれへんけど、光に無視されたときめっちゃ悲しかったし…何より、オレを無視した後に隣にいる白石に笑顔で話しかけるからいやや。あんなん、一生見たない。

弁解したのに、返事が返ってくることがないから不思議に思うて光の様子を窺えば、善哉を食べていた手を止めていた。可笑しなことゆうたか?と考えようとすれば、ぷっ、と笑いを吹き出す音が一つ。

「謙也さんどんだけ焦ってねん、ふはっ」

いつもの目つきを柔らかくして、笑顔を浮かべながら笑う光にドキドキした。なんなん、今日かわええんやけど…いや!いつもかわええけどな!今日はいつもより増してかわええ。一人で葛藤しながら、キスしたいなと思う。そして、

「ひかる」

とオレが名前を呼べば、目を合わせてじっと見つめてくる。それを合図にどちらからでもなく唇を重ねた。

(それは、甘い善哉味がした)


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