王様の生誕!

跡部さん、その呼びかけに応えるように振り向けば日吉がいた。だが、目線は俺にはなく下に向いていおり残念だと思っていたら、微かに髪の毛の隙間から赤くなった耳が見えたためにやりとした。俺と向かい合うだけで照れるとは日吉も可愛いじゃねーの。緩みまくった口元を手で覆い隠して、平然とした態度で言葉を掛ける。

「どうした、日吉」
「えっと…た、」
「た?」

日吉の言葉を復唱すれば、日吉が俯いていた顔を急にあげ、「たたた誕生日おめでとうございます!」と言った。予想もしていなかったため、ぽかーんとしていれば唇に違和感を覚えた。柔らかく、温かいものが俺の唇と重なった。それが日吉の唇だと分かった頃には、唇が離れようとしており急いで日吉を抱き寄せて腰に手を回し、もう片方の手で後頭部を支えた。そして日吉の口から漏れる息に興奮し、何度も何度も角度を変えては口の中を貪る。

満足して、口を離せば日吉が肩を上げて息を荒くしていた。そんな様子を一目見た後にぎゅうっとさらに抱きしめ肩に顔を預け、耳元で最高の誕生日だと呟けば日吉は嬉しそうに小さく微笑んだ。

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