君の隣にはオレじゃない人がいる

前は、青が好きだった。だから、青空も当然に好きだった…けど、今は青が嫌いだ。嫌いというのは少し違うかもしれない…苦手になった?いや、もう嫌いでいいのかもしれない。じゃないと、オレが苦しくなるだけだ。早くこの感情を捨てないと、今後辛くなるのはオレだ…早く、青峰っちが好きな気持ちを捨てないと、なくさないとダメなんだ。

青峰っちに好きという恋愛感情を抱いたは、一軍に入ってしばらくしてからだ。憧れが好きに変わるのに決して時間など掛からなかった。けれど、そんな感情を持たなかったらよかったんだ。ずっと、憧れの対象で『仲間』というものにしておけばよかったんだ。そしたら、傷つくことはなかったのに…青峰っちと赤司っちがキスしてるところを見て、傷つくなんてなかったのに。

部活が終わって、携帯を忘れたことに気がついて部室に行けばまだ明かりはついていて、まだ赤司っちでもいんのかな?と少しだけドアを開き中をこっそり覗けば青峰っちが赤司っちを抱き寄せてキスしていた姿を目にしてしまった。それを見た瞬間に、素早く自分は携帯のことなどどうにでもよくなって無我夢中で走って家に帰った。それからのことはよく覚えていない、けど夜中に枕を凄く濡らしたのは確かだ。そして、朝は必然とやってくるものでオレは朝練があるために学校に行く。昨日見たあの光景を酷く鮮明に覚えていながら。

校門に近づくにつれ、肩が重くなっていく。二人をどうやって見たらいいのか、二人とどう接すればいいのかなどとグルグルと色々な思いが渦巻く。一人モヤモヤしているとポンッ、という音がする。なんだろ、と思い振り向けば見たくない、会いたくない人がいた。勿論、青峰っちだ。

「よぉ、黄瀬」
「お、おはようッス!青峰っち」

オレの気持ちとは裏腹に声をいつも通りに掛けてくる青峰っちに声が少し震えるのがわかった。けれど、青峰っちはそれをたいして気にした様子もなくあの忌々しい青空をバックに「今日も頑張ろうぜ!」と言った。それに、作った笑顔でそうッスねと返せば青峰っちは遠くにいる赤司っちの元に駆け寄って行ってしまった。そんな光景を見れば、オレの頬に冷たい何かが伝うのがわかった。オレはそれを拭いもせずに、空を見上げた…真っ青で、青空な空を。だいっきらいな、青空を見てオレは一人涙を流した。

(青は、オレの嫌いな色)
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