君は大切な僕たちの主将!

緑間と呼ばれテーピングしていたのを止め顔を上げれば、赤司。指で眼鏡を押し上げながら、「なんだ」と言えば困った表情を浮かべる。それを見てつい眉間に皴を寄せる。「はっきりするのだよ、お前らしくもない」と言えば、

「すまない。今日は俺は練習に出れないから、コートの中ではお前に司令塔として頼みたい」

と言った。赤司が告げた言葉に戸惑いを隠すことが出来ず、目を数回ぱちぱちさせた。どういうことだ、こいつが練習に出れないとは。

「理由はなんだ」
「ああ、少し手を痛めてね。まあ、軽い打撲だ」

打撲か、なら練習に出ることは出来ないだろう。悪化してしまえば本も子もないからな。

「見せてみろ赤司」
「え、あ、ちょ」

赤司が変な言葉を口にするのを気に止めず、赤司の後ろに隠れていた腕を取れば真っ白なガーゼによって腕は肘まで覆われていた。それを目に入れた瞬間に、自分自身の眉間に皴が寄るのがわかった。

「みどり、ま?」

戸惑いながら赤司が声をかけてくる。それに、はあと溜息を着けばびくりと肩を揺らした。

「打撲じゃないな」
「…ちょっと切ってね、ちょっとだ、ほんの」
「血が滲んでいるが」

うっ、と呻く声が赤司からした。まったく、なにがちょっとだ。かなりの重傷なのだよ。

「大変なことになるな」
「なにがだい?」

きょとん?と赤司が首を傾げるのと同時に部室の外がガヤガヤと煩くなるのを感じた。きっとあいつらだろう。黄瀬か誰かが、保健室から出て来る赤司を見て報告したのだろう。

「あいつらが来たぞ、赤司」
「…困ったな」

と言った割には顔が緩んでいた赤司に、俺も顔を綻ばした。

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