涙はなにも語らない

涙は女の武器って言われてるらしいけど、僕はそんなことないんじゃないかなって思えてくる。だって、白竜が流す涙も僕には武器だと思うから。白竜の涙は、ほんとうに綺麗なんだ。透き通る涙っていうのかな?肌をより際立てる効果を持ってるともいう。涙にそんな効果がないのは、十分承知済みだけどね。

でも、白竜は滅多に泣かないから涙を流すことはない。だから涙を見るのは難しいんだ、それはもうとてつもなくね!けど、僕は白竜の涙が見たいからひたすら考えたんだ。どうしたら白竜の涙が見れるかって。そしたら意外にも簡単にいい案が出たから、早速試してみたんだ。きっと、白竜も「俺の涙が見たいがためにやったのか?まったく、シュウお前ってやつは」って言って呆れた表情を見せながら優しく微笑んでくれるにちがいない、楽しみだな…って思ったんだよ。

けど、今の白竜は僕に微笑んでくれる以前に声さえ出してくれない。なんで、なんで…動いてくれないの?

「白竜…ねえ、笑ってよ?」

「僕が好きな声で、名前を呼んで…、ねえ白竜、」

「白竜ってば!」

叫んで、僕は白竜の首にかけていた自分の手をふたたびぎゅうっと思いっきり絞める。その衝撃で、白竜の目に溜まっていた涙の粒が頬を伝って来た。ああ、綺麗だなと感じるけれど白竜は僕に微笑んでくれないし、声を出すこともなかった。いったい、何を間違えたんだろか?僕は過ちに気づくことなく、ずっと白竜の首に手をかけていた。

(キミの涙を見るために首を絞めた、僕が狂っていた?)



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