はやく治れの、おまじない

じー、そんな可愛い効果音で現在黄瀬涼太見つめられてまッス!愛する主将もとい赤司っちに。心臓バクバクで破裂寸前ッスよ、ほんとに。そんなことを思いながら赤司っちの名前を呼ぶことにする。

「赤司っち?」
「…涼太それどうした」

へ?赤司っちの問いかけに間抜けな声が出た。まったく、わかんないんッスけど…。そのためクエスチョンを浮かべていると、赤司っちが小さく溜め息をつき細くて白い指でオレを指してきた。

「その頬っぺた」
「ああ、頬っぺた…ちょっとした掠り傷ッスよ!」

だから気にしないでいいッス!とそう後ろに付け足すと赤司っちは眉間に皺を寄せてこちらを睨んでいた。ええ、オレなんかいけないこと言ったッスかね。

「涼太、お前は仮にもモデルなんだから、気を付けるべきだよ」

怒った声色でそう言われた。試合とかでヘマをしたときみたいだ。そんなんだから肩を少しだけビクッと震わせ、…了解ッスと言った。すると赤司っちはそれに満足したのか解らないが、オレにふんわり微笑んだ後に鞄を探り出した。そんな様子をぼーっと何をするでもなく見ていると、赤司っちが鞄から手を出しガサガサと音を立てた。いったい、何してるんッスかね…なんか可愛いからいいッスけど。

「涼太、」
「なんッスか」

名前を呼ばれ赤司っちを見詰めると、腕が自分に伸びてきてぺたりと頬っぺたから音がした。

「絆創膏、ッスか?」

自分の頬っぺたにある物体を確かめるために、頬っぺたを触ってみると少しばかりざらりとした感触。貼られた場所が掠り傷のところだったため、絆創膏かと解釈した。

「ああ、貼っておけ」

と言われた。赤司っちから絆創膏なんか貰う機会など、今後無いためその好意に甘えることにした。嬉しくて口許が緩んでしまうのは、仕方がないッス。

あ、そうだ。と赤司っちが声を出したためどうしたんッスか?と聞こうと口を開こうとしたら、ちゅっとそれはそれは可愛い音がした。へ、と間抜けな声をまた出したら、赤司っちがはやく治るおまじないだ、と呟いてきた。

(身体中が物凄い勢いで赤くなったのは、その制ッスね…)

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