小さな青春中!

いつものように登校して学校の門にだんだん近づくと、前方に見知った後ろ姿を発見したためダッシュしてそいつの背中に片手をぽんと叩く。すると、緑色の髪が僅かに動きながらそいつはぐるりと首を回しオレの方に向く。それを見てからオレは一言かける。

「はよ!真ちゃん」
「…毎朝テンション高いなお前は」
「そ?サンキュー!」

その後の真ちゃんの褒めてないのだよ、にはスルーを決め込み、歩きながら違う会話を持ち出す。

「思ったんだけどよ、真ちゃんだけあだ名あるとか不公平じゃね?」

そう行った瞬間、真ちゃんの顔が今までに見たことがない顔に変わっていてびっくりした。いや、それ人を見るような目じゃないぜ?お前頭大丈夫なの?みたいな目してるぜ真ちゃん。

「あだ名なんかない」
「えー、なんつうの…オレは真ちゃんのこと真ちゃんって呼んでて、真ちゃんはオレのこと高尾だろ?…だからえっと、」

自分でも何が言いたいのか解らなくなってきて、頭が混乱する。こんなんだから、馬鹿呼ばわりされたりすんのか。オレが言葉に詰まっていると、真ちゃんが溜め息をつきあの長い指で眼鏡を上げる。それから口を開いた。

「お前がいいたいのは、自分のことも名前で呼べということじゃないのか」
「…たぶん、な」
「だが、お前は俺のことを名前で呼んでないだろ」

ぱちくり、

そんな効果音が出そうな感じに目を見開いて唖然とした。えっと、つまり真ちゃんはオレが名前で呼ばれたいなら先にお前から呼べよってこと?ん?あってんの?…じゃあ、オレが呼べば真ちゃんは和成って言ってくれんだ!うし。善は急げというから早速呼んでみる。

「…し、真太郎」

いざやってみると意外に恥ずかしい。たぶん真ちゃんのことだから気色悪いのだよ、高尾とかなんとか言うんだろうなー、と思いながら真ちゃんの様子を伺って顔を見ると、そこには信じられない光景が待っていて本日二度目唖然とした。いや、開いた口が塞がらなかった。え、え?

「真ちゃ、ん…顔あかく、ね?」

そう、隣にいたうちのエース様は、顔を林檎の様にそれはそれは赤く染めていた。え、まさかオレの『真太郎』呼びで照れたわけ?いや、まさかそんなことねぇよな…などと思いつつも真ちゃんに釣られオレ自身赤くなってしまった。体が熱い…、


(予鈴がなっても、オレ等は二人仲良く赤くなっていた)


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