キャパシティーオーバー

さっきから視線感じるんッスけど、無視していいッスよね。絶対今、その視線の持ち主を見たらいけないってオレの脳みそが危険信号を発信してる。早く、休憩終わんないかな。なんでこんな時に限って長いんッスよ!?赤司っちいいい、早く練習始めてくださいよ。

「黄瀬、」
「っ、なななんッスか」

青峰っち…、と言うと沈黙された。ええ、あんたから話し掛けてきたんじゃないッスかああ。青峰っちとの沈黙いやなんッスけど。…いや、別に誰とでも沈黙はいやだ。前言撤回!

「…黄瀬」
「だからなんなんッス…っ!ちょ」

もう一度名前を呼ばれ用件を聞こうとしたら、青峰っちの顔が近くにありそのまま、がぶりっと自分の言葉はそれに因って遮られてしまった。突然のことで頭がキャパシティーオーバーだ。

「…旨くねえな」

唇が離れてから青峰っちがそう言った。…はあ、あんたオレのことなんだと思ってんッスかね、食いもんじゃねから。

「ま、いいけどな」

と聞こえたのもつかの間、オレの唇はまた青峰っちによって塞がれた。ああ、ほんと頭追いつかないんッスけど。そう思いつつも、目を閉じる前ににやりと悪そうな笑みを浮かべた青峰っちがいたからいいとする。

(これも惚れた弱みッスかね?)
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