ここが僕らの始まり

オレは、屋上に繋がる階段が好きだ。今もサボってそこにいる。なんで、屋上じゃなくてその手前の階段かと言うとなんでだっけな。…うわ、思い出したはいいけど恥ずかし。こんなんあの人に言ったら、馬鹿だろとか言われるんだろーな。にしても、今何時?あー、まだ授業30分以上あんじゃん。

「サボりくん」
「え、あ、南沢さ、ん?」

突然声がした方を見てみると、呆れたような表情で南沢さんが立っていた。あれ?今、授業中ですよ。

「お前、ここ好きだな」
「別に…じゃなくて、あんた授業!」
「保健室って言ってきたぜ?」

にやりとする南沢さんに少し胸が高まったのは内緒である。あー、ほんとあんたマジで中坊かっての。色気はんぱねえ。

「そうじゃなくて、なんでここ来たんッスか」
「あ?お前に会いそうだったから?」

けらけら、最後に笑いながらそう言った南沢さん。女子がいたら皆倒れてんなとか思いながら、…そッスかと返したら照れてんの倉間とか言われた。ムカつくが図星だったから無視することにした。

「ってかさ、お前」
「…はい?」
「なんでここ好きな訳?」

しばらく沈黙があった後、南沢さんが口を開きそう言った。え、今聞く?…ま、聞くよな、暇だもんな。けど絶対に言いたくねえ。この人に言うぐらいだったらオレ神童に告る。いや、やっぱ嫌だな、無理。

「…いや、特に意味は」
「嘘ついたら、もうキスさせてやんねーからな典人くん?」

ずりぃ、この人。南沢さんとキスできねえとかオレに死ねって言ってるみたいなもんだろ。ある意味、死亡フラグ?

「…笑わないで、ください、よ」
「内容による」
「サイテーだな、あんた」

キス出来ないは頑なに嫌なので、意を決して…仕方なく南沢さんに打ち明けることにした。ほんと、不本意だけどな!

「…み、南沢さんに…その」
「俺に?」
「…初めてきききキスしたの、ここじゃないッス、か」
「…」

はい、沈黙来た!死にてええ。なんだよこの羞恥プレイ!!ああ、言ったら絶対にこの人何もいわないでその後に笑い飛ばされて今後もネタにさせれんだよな!あーくそ。最悪だ。にしても、反応なさすぎじゃね?そろり、南沢さんの顔を覗いて見る。え、

「ちょ、なに顔赤くして」
「!っるせえ、見んな!バカ」

大好きで尊敬しているあの紫色の髪を持つ南沢さんがこれでもかというくらい、顔を林檎のように赤く染めていた。うわ、かわいー。耳まで真っ赤じゃん、南沢さん。どうッスかな、今ここでキスしなきゃ男じゃねえなあ…なんて思いながら今だに赤くなっている南沢さんに近づいた。

(南沢さんにキスするまで、あと何秒?)

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