まるで、僕みたい

白竜ーっ!と声を出しながら白竜を探しているとふわふわした白い髪の毛を発見した。間違いない、あの髪の毛は白竜だ。

「白竜!」
「…シュウか」

僕の声に反応し、白竜が振り返る。それだけで、嬉しくなる。

「ん?それ、何?」
「それ?…ああ、これか」

ふと、白竜の手元を見てみるとプラスチックの入れ物と棒みたいなものがあった。なんだろうと思い、白竜に聞いてみた。僕には知らないものが多いからね!

「シャボン玉をするものだ」
「シャボン玉?」
「…そうだな、遊びの一つ、というのか?空気中で作られる泡であると言っても良い」

白竜が説明してくれるけどよくわからない。えっと、遊びの一つで…泡?んん、なんか難しいな。そんな僕な思いを感じたのか白竜は実際にしたらいい、と言って僕に見てろと促してきた。どうするんだろ?じーっと見ていると、白竜はプラスチックの入れ物を開け、棒をその中に入れてちゃぷちゃぷと音を立ててからそれを取りだし、入れてなかった方の棒の先を口に入れて頬を軽く膨らませふーっと息を出した。その瞬間、入れ物に入れていた方の棒の先から丸い玉が出てきた。それは、出てきた途端に上に上がったり、風に押され下に下がったりした。

「わあ!凄いね、面白い!」
「だろ?」

僕が正直な感想を述べると、白竜は微笑み返してくれた。きゅんってしちゃうなあ、まったく。それにしても、あの棒になに浸けてたんだろ?と疑問を抱いたので白竜に聞いてみた。すると、なんでもあのプラスチックに入ったシャボン液に棒もといストローを浸けて、息を吹き込むとシャボン玉を作るそうだ。シャボン玉は不思議なもの、と僕の記憶にインプットされた。そうこうしているうちに、白竜がまたシャボン玉を作っていたので何となくシャボン玉に手を伸ばしてみると、僕の手が少しシャボン玉に触れた途端にぱちんっと小さな音を立てて割れた。…最初はびっくりしたけれど、少し経てばシャボン玉が僕みたいなものだなと感じてしまった。触ったら、割れてしまう…まるで僕みたい。もう少しすれば、きっと…いや必ず僕もこのシャボン玉のように消えてしまう。流石に、音は出ないけれど。

「シュウ?」

シャボン玉を触ってから、なにも反応しない僕を不思議に思ったのか白竜が声をかけてきた。それに僕は笑顔を自然に作り笑いかけた。

「なんでもないよ、僕もしていい?」

そして、そう誤魔化した。まだ君の隣にいたいんだ、だからどうかこの気持ちには気づかないで。

(初めてのシャボン玉は、酷く嫌なものだった)
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