机上のラブレター

ガラッと音を立てて教室のドアを開ける。その時に、教室に響く声や物音が自分の耳に振動して伝わってくる。それを五月蝿く思いながら自分の席を目指して歩けば、「おはよ」、「よっ、財前」などと声が聞こえるので「はよ」とか「おう」とありきたりの返事を返す。毎朝の恒例行事が終われば、俺の席に着く。だが、今日はいつもと違い自分の席にヒヨコ頭が見えた。此処2年の教室やったよな?と頭の片隅で考えながら、謙也さんに声をかける。なんか、必死になんかしとるけど…なんや?

「なにしとんっすか」
「おおう!?っ、あ来たんか!はよ、光!」
「っす、…そうやなくて、アンタなにし」
「あ、あかんチャイム鳴ってまう!じゃ、また昼にな!光!」

と、俺の言葉を見事に遮り謙也さんは廊下を走っていった。なんやねん、あのヒヨコ頭とボソッと口にしてやっと自分の席に座った。

「ざいぜーん」
「黙っとれ、遠藤」

その途端に俺の前の席のバスケ部所属の遠藤が話かけてきた。だが、今お前に構っとれるほど暇やあらへん。

「冷たいわ、冷たすぎるわ!光!」
「名前で呼ぶなや」
「…折角、忍足先輩が何しとったか教えよー思うたのに。もう、ええわー」

忍足先輩という言葉が聞こえた瞬間に、遠藤の目をジッと睨み付けた。すると、遠藤はニヤニヤしながら、そんなに見つめられたら照れるわー、とかふざけたため遠藤が座っている椅子の脚を蹴った。ぶねっ、とか聞こえたけど知らんっちゅーねん。自業自得やろ。

「謙也さん何しとったか言えや」
「うわ、目怖っ!」
「遠藤、」
「はいはーい、えっと財前の机になんか書いとったで?」

机?また、変なことでも書いたんかあの人…と思い机を見ると、隅のほうに謙也さんらしい書体で字が書かれとった。それを読んだ途端に、思わず体が固まった。遠藤のおーい、財前ー?とか聞こえるけどそんなんに反応出来ん。目の前の謙也さんからのメッセージ…ラブレターにたじたじなってそれどころやない。ああ、…あかん。柄にもなく照れるわ。今、絶対耳赤いやろなとか思い昼になんて言ってあのヒヨコ頭蹴ってやろか、と考えながらそのまま顔を机に伏せた。

(ラブレターの内容は、想像でお任せしますわ)
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