窓の外にスピードスター

暑い、…そう感じて目を覚ました。今日に限り早く寝ることにしていたが暑さが原因で結局は目が覚めた。そして、涼しくなろうと起き上がり机の上にあったリモコンに手を伸ばしクーラーをつけた。その行動の後にふと、何時か気になり携帯で時間を見ると11時57分を指していた。寝てからあんまし経ってへんなと思いつつ、寝よとすぐに思い横になり寝ることにした。明日も朝練あるしな。

すると、横になった瞬間に携帯が鳴り出した。なんの予兆もなく鳴り出したので少しばかり肩を揺らした。柄にもなくビビるわ、そないにしても誰やこんな夜中にかけてくるとか。アホちゃう?寝とるにきまっとんやから、考えや。多少、忌ま忌ましく思いながらも携帯を手に取ると"謙也さん"と表示されておりなんの用や?と疑問を抱いたが通話ボタンを押した。

「…もしもし」
「あ、光か」
「俺以外に誰がでるんっすか」
「せやな」

携帯を耳に当て謙也さんの電話に出て話すが、謙也さんの声と共に違う音も聞こえた、そう車の音がする。なんでそんなん聞こえんのやろ、謙也さん窓開けとんか?…たぶんそやな。考えるのもバカらしいからそういう考えにたどり着かせた。

「それより、謙也さんなんのよう」
「光!窓の外見てや!」
「はぁ?」

俺の言葉を遮り、謙也さんはいきなり窓の外を見ろとかゆってきた。何がさせたいねん、あのヘタレ。文句を吐くが、結局ベッドから腰を上げ窓の方に向かった。謙也さんの「じゅうーきゅうーはちーななーろく」と意味不明なカウントをBGMにしながら。そして、窓の元まで行きカーテンを開けようと手を伸ばす。耳には謙也さんの「ご、よん、さん、に、」とカウントダウン。それを聞いて、カーテンを引いて外を見ると謙也さんが目に入った。なんでおるん?と考えている俺をよそに「いち、ぜろ!」と聞く余裕もなく次に聞こえたのは、

「誕生日おめでと、光!」

携帯と下にいる謙也さんの声が重なったものだった。その言葉から少し遅れて慌てて携帯を見てみると調度日付が変わり7月20日の0時ぴったりだった。…俺、誕生日やったんか。

「光!どや、オレが一番乗りやろ」

笑顔いっぱいの謙也さんが俺に尋ねる。確かに、謙也さんが一番なのでそっすわ、と一言返すと冷たっと返された。そして、しばらく沈黙が続いて俺は口を開くと、

「謙也さん、」
「おん!」
「…どうもっすわ」

自分ではわからないが微笑んでお礼の言葉を言った。すると、謙也さんは顔をほんのり紅くしながら「好きやで!生まれてきてくれて、ありがと!」と満開の笑みを俺にくれた。

祝ってくれておおきに、謙也さん。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -