砂糖づけのラブレター

なんやねん、これ。と目の前の紙を見て思った。紙と言っても、手紙だった。しかもご丁寧に封筒に財前へなどと書いてある。差出人はというと、紛れも無く目の前でニヤニヤしている部長だ。

「なんっすか、これ」
「せやから、ラブレター」
「…意味わからんっすわ」
「ラブレターの意味がか?」

誰もラブレターの意味がわからないと言ったのではない、なぜラブレターを俺に渡すのかがわからないと言ったのだ。きっと、この部長もそれをわかりきっているてわざとだ。確信犯とか…ほんまなんやねん。

「財前、読まんの?」
「…はぁ」

黙っていたら、手紙を読まないのかと促された。けど、その言葉は読めという催促だろうとは思いつつも封筒の中から便箋を取り出し読むことにした。そして、手紙に目を通すと予想外にも固まってしまった。声を出せないほどに。

「どや?」

白石部長が、言葉を投げ掛けてくるが俺は固まったまま動けずにいた。そして、そのまま部長は言葉を繋げる。

「いつもお前は軽いとかゆうからな、字に表してみたんや」

そう俺は、いつも部長が言葉でいう好き、などは無視していた。言葉というものは、俺にとって軽いものだったからだ。

「で、伝わったか?」
「…まぁ」

それが、今回の手紙には心を掴まれてしまった。それはシンプル、部長の言葉を借りると無駄がなくただ一言"好きや"と書いてあったのだが酷く甘いラブレターだと感じた。

「財前、耳赤いで」

満足そうにしながら、俺の耳を触り部長は言った。その行動にさらに耳が赤くなったのはこの白石部長しかしらない。

(ほんま、この人には敵わん)

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