君と彼との共通点

先ほどからむすっと顔を膨らましどこか怒っているように見える赤司君。ボクはいったい彼に何をしてしまったのか、身に覚えがなかった。

「あの、赤司君」
「なんだい、黒子」
「…」

これは完全に怒っているサインだと、ボクは迷いもせずに悟った。名前呼びから、帝光中学校時代の苗字呼びに戻っているのだから、誰にでもわかってしまうと思うけれど。

「…なんで、怒っているんですか」
「関係ないだろ」
「…赤司君」
「ほっとけよ」
「赤司君!」

躊躇しながら理由を聞いてみるが、ボクには関係ないときっぱり言う。なら、なんでボクのことを黒子なんて呼ぶんですか。今は、もう中学時代でもないのに。それから、赤司君から返されたほっとけよに普通のボクの声では考えられない声を出して彼の名前を呼んだ。当然、彼は肩を大きくびくつかせ睨みながらボクを見てきた。

「ボクは、いくら考えても赤司君が怒る理由がわかりません。悪いとは思います。ですから、理由を教えてください」

そう言うと、目の前にいる赤司君は目を下にやり、恐る恐る口を開けた。

「…し、嫉妬したんだよ…火神に」
「火神君にですか?」

彼の口から嫉妬という言葉がでてきた。それだけで嬉しい。けれど、なぜ赤司君が火神君に嫉妬するのかが理解できなかった。

「彼も赤い髪の毛だろ、だからテツヤは赤い髪の毛なら誰でもいいのかって」
「…ないですよ、」

黒子呼びから元通りにテツヤ呼びに満足しながら、赤司君の言葉を否定してそのあとに言葉を繋げる。

「ボクが好きになった人が偶然にも赤い髪の毛で、今チームメイトの彼も偶然に赤い髪の毛だった、それだけです」

ボクの言葉を聞いてから、赤司君は顔を上げた。彼の顔はとても切なげであり、目には涙を溜めていた。が、次の瞬間にはその表情を勢いよく変えた。

「まぁ別にそこまで気にしてなかったし、いいんだけど」

その時の赤司君の顔といったら、いつもの見下すような目をしながら口元を少しばかり吊り上げていた。ああ、やはり彼はこうでないと。

でも、また嫉妬してくれたら嬉しいです。

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