オレンジジュースとあなた

練習の休憩中、それぞれ自分が頼んだ飲み物を桃井さんが買ってきてくれて飲んでいるところだった。皆、炭酸類、青汁などさまざまなものだった。ボクはと言うと、マシバのバニラシェイクが好きだったけれど買いに行かせるようなことも出来ないので普通にオレンジジュースをお願いした。

いくらかジュースを飲んでいると、真っ赤の髪を揺らして赤司君が近づいてきた。なんでしょうか。

「テツヤ」
「はい」
「それ、オレンジジュース?」
「…そうですけど」

何を言われるかと思っていたが、単に飲み物の種類を聞かれただけだった。そして、赤司君の飲み物はいったい何なのか気になり手元を見ると緑茶があった。

「赤司君は、緑茶ですか」
「ああ、そうなんだけど他のにすればよかったな、甘い飲み物も欲しかった」

少しだけ眉を下げる赤司君に、愛しさが芽生える。何気ない表情でも、すべてが愛しいものに変わってしまう。赤司君パワーとでも言うのでしょうか?

それから、ボクはふと考えて赤司君に向かって一言投げた。

「なら、飲みますか?」
「いいの?」
「はい」

そう言うと、目をキラキラさせボクを見つめてきた。君のそんな表情が見れるなら、ジュースなんていくらでもあげます。

「じゃあ、もらうよ」
「好きなだけどうぞ」

それから、ボクの手からオレンジジュースを受け取りちょびちょび飲みだした。そんな姿を見て一つだけあることに辿り着いた。

「赤司君」
「ん、」

声をかけると、目をこちらに向けなんだ?と語りかけてくる。僅かに、上目遣いになっていてつい胸が高鳴った。

「間接キスですね」

さらりとボクがつげると、赤司君は少し飲むのを止め途端に顔を赤く染めた。それから、ボクを直ぐさま睨んできた。

「テ、ツヤ練習で覚えときなよ」

初め詰まりながらも発して、赤司君はボクにオレンジジュースを押し付けくるりと後ろを向き紫間君の元へ歩きだした。少し、赤司君の真っ赤な顔が見れないことを惜しく思いながらも後ろ姿を見ていると髪の隙間から顔同様に真っ赤になっている耳が見え酷く嬉しい気持ちになってしまった。酷く、赤司君が愛しい。

さて、練習に励んでから赤司君をマシバに誘ってみることにしましょう。

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