しゅわしゅわサイダー

じりじりと、太陽がオレらを照り付ける。隣におる光を見ると、首筋を伝って汗が落ちる瞬間を目にした。それが酷く色っぽくて目を奪われてしまうほどやった。

「なんすか、」

視線に気付いたのか、光がこちらを見てきた。それはそれは、眉間に皺を寄せながら。

「いや、今日あついなーと思うて」
「絶対にちゃいますやろ」

オレの答えに納得しないと言うように、じっと見てくる光。あかん、見詰められれと今以上に温度が上がりそうになるっちゅうねん。別に嫌ってわけやないけど。

「あ、せや光!」
「なんです」
「駄菓子屋行こうや!」
「…ええですけど」

話題を変えるために、駄菓子屋に行こうと提案を出したら少し間が空いて返事が返ってきた。それからしばらく、太陽が照り付ける中を二人で歩き駄菓子屋に着いた。その時のオレらは、ハンパない量の汗が出ていた。

「おばちゃん、サイダー二本!」
「謙也さん、二本も飲むんっすか」
「ちゃうわ!お前の分やっちゅうねん!!」

店にいたおばちゃんに、サイダーを二本頼むと直ぐにキンキンに冷えたサイダーが出てきた。おばちゃんからそれを受け取ると思わず、うお、冷たっ!と声に出してしもうた。その声を聞いた光は、クスクス笑った。それに照れながら、光にサイダーを渡した。

「ほい」
「ども、謙也さん」

先ほどのオレの声がおもろかったのか微かにまだ顔が笑っている光。にしても、今日は素直やな礼ゆうとか。

「…謙也さん」
「ん?」
「このビー玉取ろうとしたことないっすか」
「ああ、あるで」

オレから受け取ったサイダーを見詰めていた光が、途端に言い出した。確かに、ガキの頃必死こいてビー玉を取ろうとした思いでがあった。たしか侑士と競いあったような、あわなかったような。

「俺、昔スッゴいこれ欲しくて兄貴に必死に頼んでましたわ」
「へー、そか」

懐かしそうにサイダーを見ながら話す姿が、なぜか眩しかった。それでいて、また光の首筋に汗が伝わり、色っぽかった。

明日もきっと暑いやろうからまた光と駄菓子屋に行ってサイダーを飲もうかと、頭の片隅で考えながらごくっとサイダーを飲んだ。

ああ、暑いっちゅうねん。
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