第三者からお送りします

今日の幸村くんは機嫌がいい。朝練から、放課後の部活にいたるまでだ。そんな幸村くんは今鼻歌中だ。あの神の子である幸村くんをそこまでさせるものは何かというと、あの真田にある。俺にとっては、ただの老けた同級生。真田に特別な思いを抱くことなんかこれからも絶対にない。あったら、すげぇ。まぁ、はっきりいうと今日は真田の誕生日だ。だから、きっと幸村くんのことだから真田に何かを企んでいるのは確実だ。逆に無い方が驚きだぜい。

「あ、真田」

俺より少し遠くにいる幸村くんは、先程までしてた鼻歌を止め部活に遅れてきた真田がこちらに向かっていることに気づき、声を出した。幸村くんはわかってないと思うけど、真田を見る幸村くんの顔つきは若手優しい。

「うむ、すまない遅くなった」
「いや、…そうそう耳貸して」

真田が幸村くんに近づき、謝った。あんまり、真田が謝る姿なんか見らねぇから新鮮だ。そして、幸村くんは真田が側に来たことを確認すると真田に突然そう言った。耳貸して…、やっぱり幸村くんは何か企んでいたみたいだ。

「?ああ、構わんが」

真田は、きょとんとしながらも了承した。…、真田がきょとんとかしても全然キュンってこねぇな。当たり前か。

「ふふ、」

真田から了承を得た幸村くんは、少しばかり微笑んで真田の耳に顔を近づけた。なにを言ったのか、聞こえはしないけどある程度わかる。なぜなら、

「ゆ、幸村っ!」
「今日は真田の誕生日だから、特別だよ」

今までに見たことがないくらい真田の顔が真っ赤だからだ。あ、照れてんな真田のやつ、と思って見ていたら真田がいきなり幸村くんの腕を引っ張り顔を耳に近づけ何かを言っていた。先程、幸村くんがしてみたいに。まぁ、これも何を言ったのかは聞こえない。けど、あの幸村くんが顔を林檎みたいに真っ赤に染めたので照れるようなことなんだろう。

「…っ、ばかじゃないの」

幸村くんは、仕手やられたみたいだ。ほんと、まっかか。あー、真田が望ましいぜい。けど、今日は真田の誕生日だから許してやろう。

おめでと、真田!

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