あなたの考えは理解できない

赤と青が混じって紫ができる、

途端に赤司君がそう呟いた。彼はよく唐突に言葉を吐く。それは愉快そうな場合もあるし、憤怒の場合や、冷めた場合もある。今はどちらかと言えば愉快そうに見える。

「赤司君、どういうことですか」
「だから、赤と青が混じったら紫ができるよなって話」
「…色の関係ですか」
「ん、髪の毛の色の関係とでも言っておこう」

僕の答えは間違ってもいなかったが、彼がいうには髪の毛の色の関係らしいので大人しくそういうことにしておきます。

「別に髪の毛の色の関係でも構まいませんけど、あまり意味がわかりません」
「テツヤらしくないな」
「…そうですか」
「ほら、僕の髪と大輝の髪がヒントだ」
「…ああ、そういうことですか」

少しばかり、赤司君に言われたことを頭の中にインプットして答えを導き出した。…なんとも彼らしいというか、謎といいますか。そして、理解した僕に満足したのか赤司君は口を緩まし笑った。

「テツヤならわかってくれると思ったよ、大輝なんかちっとも理解しなくてね」
「青峰君に理解力を求めても無駄だと」
「そうだな」
「はい」

そして、赤司君は部活に行くかと言って立ち上がり体育館を目指して廊下を歩きだした。その後ろ姿を見ながら、彼はきっと赤司君と青峰君が絵の具のように混じり合えば紫原君ができるとでも言いたかったのだろうと心の中で思い、それは、彼らには縁(ゆかり)のない子供ができたらの話を絵の具に例えたのだと、僕自身よくわからない解釈をした。やはり、赤司君はよくわからない。

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