ごめんね

ズッと、強烈な音が響く。ああ、…僕には無理だった…そう思いながら白竜を抱きしめる。

「…どうして」

白いボクが唖然した顔でこっちを見て吐いている。どうしてって、白竜は僕にとって大切な人なんだから当たり前なんだよ。守るのが宿命みたいなものかな。なーんて、言ってみたり。君ももう一人の僕ならわかるはずだよね…。でも、

僕には守れなかったみたいだ。

僕を貫通して白竜にも突き刺さる斧。白竜は、瞳をこれでもかというぐらいに開けている。当然だよね、いきなりこんなことになってるんだから…。

「白竜ごめんね、やっぱり僕にはできなかった…ごめんね」

赦されることがないのに、僕は謝り続ける。そして、白竜を強く抱きしめる、最後の力で一杯に。それの影響で、斧が少し動き僕と白竜から出ている血が地面に垂れ落ちていく。ぽちゃん、ぽちゃんとリズミカルに。そんな音を聞きながら、僕と白竜は崩れ落ちていく。死に向かっているのだから、次第に力が弱くなってきてるみたいだ。ああ…白竜もそうみたいだ、目が虚になってる…。

そして、ついにドサッと二人分の倒れた音が響いた。目の前には、弱りきった白竜、そんな彼を見て涙が出てきた。僕の制なんだ、全部、全部…ごめんね白竜。やっぱり僕にはできないんだ、妹を救うことも、白竜…君を守ることも。命を守ることも、

僕にはできない

最後の力を振り絞り、側に来ていた白いボクを目だけを動かし見る。そして、…ふふ、君の思い通りにはいかなかったよ、…だって僕も死んじゃうもん、そう呟いた。

「ばかだよ、ボクは…」

白いボクが涙を流して言った。それから、白いボクは硝子のように脆く崩れていった。それを見て僕の視界は真っ暗になった。ねえ、白竜…また一緒にサッカーしようね。

だいすき、だよ


(僕には守れなかった)

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