大切な彼を守るために

目の前にいるもう一人の白いボクが斧を身構える。それを見て、僕は酷く慌て大切な人とは誰かと考えながら、白いボクが狙っているところに目を向ける。そこにいたのは、紛れも無い僕の大切な人だった。そう、白竜だ。

「なんで、白竜なの」
「ボク自身の1番が彼だからだよ、わかるでしょ?彼を殺したら、また始めからだ!またサッカーを怨んで復讐するんだ!!」

そう大声で叫ぶ白いボク。なんとかしなきゃ、どうにかするんだと頭の中で考える。早く、白竜の元に行って何かしないと。大切な大切な彼を守らなきゃいけない。

「ふんっ!」

声がしたと思うと、白いボクが白竜に向かって斧を投げた。ビュッと風に乗り真っ直ぐ奇麗に狙いを定めて飛んでいく。僕は慌てて、足を踏み出し白竜の元に向かう。

「!!」

白いボクが僕が白竜に向かっているのに気が付きこっちを見た気がしたけど、僕は止まらない。白竜の元へ、ひたすら走る。無我夢中に走る、彼を守るために。そして、やっとやっと白竜の姿を近くに確認出来て手を必死に伸ばす。もう、まさに斧が白竜に突き刺さろうとしているところだった。白竜もなにか来ることに気が付いたのか焦っていた。そして、

「白竜!!」

今までに出したことがないくらい大声で白竜に叫ぶ。彼に僕がいることを認識させるために。

「シュウ?」

えっ?とした表情で僕の名前を声に出しながら振り返る白竜。それだけで、彼がこんなにも愛しくて大切でかけがえのない存在であることがわかる。だからこそ、なんとしても守りたい。その一心で、遂に白竜の元に辿りついて彼を守るため直ぐさま白竜の首に自分の腕を絡めた。

(僕はあなたを守れるだろうか)

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