幸せを実感する日々、


今日は何時もよりまして暑いなと、体で実感する。なんなんだよ、この暑さ。

「幸村」
「ん、なんだい」
「大丈夫か」

1人ベンチに座って暑さに苛立っていたら、真田が俺の方に向かって来た。少し汗だくなりながら。

「大丈夫かって、体のこと?」
「ああ」
「ただ暑かっただけだし、気にすんなよ」

そう声を出したが、真田は些か気にくわないのか眉間に皺を寄せる。ああ、そんなことしたら今より老け顔になっても知らないからな。

「…なら、これでも被っていろ」
「ん?」

ある程度経ってから真田が声を出したので、反応に遅れた。そして理解するのも束の間、ポスッと間抜けな音が俺の頭上でしたので目を上に向けると、黒色が目の前いっぱいに広がる。それから、…この色はよく知っている真田の帽子の色ではないかと頭で理解した。

「ふふ、ありがとう」

理解した後直ぐに、俺から遠ざかる背に声を掛けた。だが、真田は振り返ることはせず、照れたような声で礼には及ばんと言ったのを聞いた。ふふ、俺はなんて幸せなんだろうかと帽子の鍔(つば)を触りながら親しんだ。ああ、こんな日が毎日続いたらどれだけいいのだろう。



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