携帯を握りしめている手を見つめる。あの人からかかってくることは無いのにじっと見つめる。…そんな自分が無様に思える、だがそれをやめないのは何故なんだ。明日、またどうせ会うのに、いやでも在ってしまうのに。なんで、今あの人…琥珀さんからの電話やメールを望んでいるか。それは単に、琥珀さんと石蕗さんが一緒にいないことを期待するためだ。期待などしても意味がないのはわかりきっているのに、抗う、反発する。俺の前で、石蕗さんと約束事をして嬉しそうに微笑んだ琥珀さんを否定するように抗うんだ。そんな、琥珀さんは見ていないと。…でないと、俺自身が壊れそうになる。諦めないといけないのに、俺は今でもあの人を想う。だがその想いは、誰も幸せになることがないとわかっているから必死に隠している。しかし、隠すこともだんだんと難しくなっている。だから、諦めないといけない。…少しだけ、携帯を握りしめていた手を緩める。その途端に、携帯が振動した。メール受信の知らせが写り、受信箱を開きメールを見る。その瞬間、俺は泣きたくなった。メールの差出人は、紛れも無い琥珀さんで本文には“あきやんのお陰でデート助かったよ。相談のってくれてありがとう!“と書いてあった。それだけなのに、無性に泣きたくなった。そして、ある思いが生まれた。

諦めたくない、

そう思った。どうか想い続けることだけは許してください、琥珀さん。それ以外は、あなたの幸せを望みますから。

今、あの人は何をしているのだろう
(俺じゃない思い人といる)




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二万打ありがとう!
敬語だと口調に特徴が無くなっていく。年上相手だから仕方ないんだけど。
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