部室には、オレと財前の二人だけや。それやのに、財前は耳にイヤホンをつけて音楽を聴いとる。オレかて、構ってほしいっちゅーねん。
「財前、」
だから、めげもせず再び名前を呼ぶ。
「なあ、財前」
二度目の呼びで、財前の伏せていた瞳が少しだけ開くが再度閉じてしまった。そこから、こいつ、絶対聞こえとると判断する。なんや、オレと話すのいやなんか?そう思った自分自身の言葉に傷つき、忘れようと考え構って貰えないならしつこくなにかしてやろうと一つの答えにたどり着いた。そして、財前の手と自分の手を重ねるようにした。
その瞬間、ばちっと財前の目がこれでもかというぐらいに見開いた。は?
「っ!」
「ざ、財前?」
「、触んな」
そう言われて、手を振り払われそっぽを向かれた。え、なん?触るのあかんかったん?え、やでもオレら付き合っとんのよな?
「財前、触るのあかんのか?」
「いやっすわ」
きっぱり言われた。でも、なんであかんねん?とさらにさらに、疑問に思う。そしてあることを思い出した。ちょっ、待てよ。昨日、財前の髪触ったんやけど何もなかったよな。だったら今日は、機嫌が悪いだけなんか?よー、わからん。でも、触りたいわ。今日と昨日の違いってなんかあんねんか?…やっぱり、財前の機嫌。あ、触ったとこの違いか?昨日は髪で、今日は手。肌と肌が重なりおったのは今日や。また、思い出したが因みに、財前は肌とかに触れるもんに敏感な敏感肌やった。そうか、そない簡単なことやったんか。
「財前、照れとん?」
「っ、ちゃいますわ」
「ほー?なら、顔見してみーや」
財前の肩を掴み、自分の方に向かせた。振り向かせたときの財前の顔を見た今の自分の顔はニヤついているだろう。
「真っ赤やん、顔」
「っるさいっす、わ」
いつもの財前と違って、顔を真っ赤にしとる財前。白石の言葉を借りるとすれば、エクスタシーっちゅーことや。
「にしても、財前手繋ぐとか恥ずいん?」
「…悪いんっすか」
キッ、と睨んでくる姿に猫を連想させられる。めっちゃ、かわええ。いつもの、財前も好きなんやけど今の財前もさらに好きや!!
「悪いとかゆうてへんで?かわええなーって」
「、アホっすか」
本心を伝えると、財前は再び顔を真っ赤にさせた。ほんまかわいいっちゅー話や!
恥ずかしがり屋な後輩
(新しい可愛いところを発見した)
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二万打ありがとう!
光のデレがもっと増えたらいいよね!みたいな。