メガネと、コンタクト


痛い、今日は目にコンタクトが合わない日なのか。洗面所で一人思う。さて、どうするか、今日はゲームでもして休みを満喫する予定だったのだが。生憎、コンタクトが合わないせいでゲームを中止にすることになる。私としては、それ以外にプランを立てていなかったから今更中止すると痛い。

「無理にでもつけるか、」

一人そうぼやいた時、洗面所のドアが開く音がした。

「あ?なにいってんだ、風介」
「晴矢か」
「顔洗いてぇんだけど」
「ああ、どこう」

そう言い、洗面台から離れ再びどうしたものかと考える。ゲームを取るか、痛みを取るか…

「風介どうした?」
「いや、なんでもない」

晴矢に声をかけられ、少し焦ったが平常心でいる。晴矢に心配されるのは私にとって恥ずかしいからね。

「お前すっげぇ眉間に皴寄ってるしよ、細目だし、オレになんかあんの?」
「ガンを飛ばしたつもりは一切ないよ」
「ふーん」
「私情だから気にするな」
「…コンタクトと関係あんの?」

びくっ、と晴矢の言葉に図星で肩が揺れた。は、晴矢にばれるのは何としても避けたい。頼るのが嫌だからだ。

「そんな訳ないだろう、チューリップ晴矢」
「てめっ!人が親切に聞いてやったのになんだよ!」
「頼んだつもりはない」
「そうかよ!!」

いつもの様に、生意気な感じに返す。これが、晴矢と私の愛情表現みたいなものであるらしい。ヒロトがそんなことを言っていた。どうでもいいことに変わりはないが。そして、晴矢は洗面所から出ていくのと思いきや私の方に近寄ってきた。ああ、めんどくさいね。

「ん、」
「は?なんだい、これ」
「見てわかんねぇのかよ!眼鏡だっつの。俺の貸してやるよ、無いよりはまっしだろ」

そう言って、私に眼鏡を押し付けてきて、洗面所から出ていった。その後ろ姿に、小さくお礼の言葉を呟いた。






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