いやだ、と吉野は頬っぺたを膨らませて言う。可愛いのは認めるが、こっちは譲る訳にもいかない。早く、夜御飯を食べて次の仕事に移りたい。

「吉野さま」
「いやだ」
「…吉野さま」
「だから、人参なんか食べないって!」

この餓鬼ふざけやがって。俺のこの後の仕事が推すだろうが!考えろ!

「人参食べれないんですか?」
「いいだろ、別に」

よくねえよ。俺は、旦那さまからあんたのこと頼まれてんだ。だから、好き嫌いも無くさなきゃいけない。ああ、もう放り出したい。どうするか、…あ。

「吉野さま」
「なに」
「それならこちらにも方法がございます」
「ん?」

きょとん、とする吉野を見て、俺は皿にある人参をフォークで刺し、自分の口に入れた。

「え、なに食べてくれんの?」
「なにおっしゃっるんですか、食べるのは吉野さまですよ?」
「は、」

アホ面な吉野の顔を頂戴してから、強引に吉野の顎を上に上げた。そして、そのまま自分の唇と吉野の唇を重ねた。

「んん!っ…ふっあ!」
「ん、」

そしてそのまま、口内に在った人参を素早く入れ、飲み込むように舌で食道の入口まで押す。吉野は苦しいのか、ぐっ、う゛!とか出しているが無視だ。飲み込むまで、絶対に止めん。

「せっ、んり゙…」
「(無視だ)」

名前を呼ばれるが、無視してやったら、堪忍したのかごくっと、人参を飲み込む音がした。やっとか。結構かかったな。そう思いながら、舌を吉野の舌と絡み合わせくちゅくちゅと音をたてた。所謂、ディープキスを贈る。

「ふあ、んんっ!っ…はっん」
「ん、…食べれましたね、吉野さま」

ディープキスを贈った後、吉野から離れた。離れる際、厭らしい糸が引いたのに、少し口許が上がった。さて、次の仕事に向かうとしよう。

深いキスで召し上がれ!
(もう一度なさいますか?)




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一万打ありがとう
少し、表現が厭らしいような気持ちもしますが注意するようなことじゃないかな…。
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