シュウは、船に乗らず島に残った。僕は此処にしかいれないとか、言って。ふざけてるのかと思い、怒鳴ってやろうかと思ったが止めた。シュウの顔があまりにも切ない顔だったからだ。だから俺はシュウを残し、島から出ていった。あいつだけが、島に残った。


俺たちは、元の場所へと戻っていった。家族の元だ。俺の母親は、俺を見た途端、これでもかというぐらいきつく、きつく抱き締めてきた。泣きそうになった、だが泣けなかった。隣に誰かがいないからだ。

俺は、いつも昼から家の近くにある公園に行き、サッカーをする。そして、夕方までとことんやる。それで、毎日が終わるが今日はいつもと違った。カイが俺に会いに来た。

「白竜、シュウのことなんだけど」
「…なんだ」
「シュウは、幽霊だったんだ」

…幽霊、カイの言葉を聞いた途端になんともいえない何かが俺の中から沸き上がってくる。馬鹿馬鹿しい、シュウには何か別の理由があっんだ。なのに、幽霊だったからだとか。バカらしすぎる。俺は知っている。

シュウが温かったことを。
温もりがあったことを。

この自分の手で、感じた。ならば、なぜ幽霊なのに温かった?冷たくなかった?

「馬鹿馬鹿しい」

そうカイに言ってやった。

「白竜、認めたくないのはわかる…けど俺達とは違うところがあったよな?」

カイは、シュウを幽霊だと言い張る。そこまでして、あいつを幽霊にしたいのか?
しかし、

「…違うところ、」

カイに言われて、思い出したのがシュウは携帯電話を知らなかった。俺の携帯を見たときは、「なにこれ?何に使うの、白竜」と言った。他にも、自動販売機を知らなかったり、今の現代人では知らないと可笑しいことを知らなかった。

そして、俺は気づいた。
あいつは、幽霊だったと…

「言いたいことはそれだけか」

そう、カイに言い俺は家に帰った。後ろから聞こえる声を無視して。認めたくなかった、認めてしまったらシュウに会えないことをものだててしまうからだ。
ああ、俺は…俺だけがシュウ、お前を幽霊だとは信じない。あの温もりは、生きている人間のものだったからだ。

そんなことを思っていた俺の横を風が吹き抜けた。


(黙っててごめん、だいすきだよ白竜)
(シュウの声が聞こえた)



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