「南沢さーん」
廊下で見かけた南沢さんに声をかける。あれ?この人、単語帳もってね?おいおい、勉強かよ。
「なんだ、倉間」
「ガリ勉っスね」
「お前も受験生になったらわかんだろ」
「俺、行けるところでいいんですよね」
思ったことを口走ってみた。本心だしな。なぜか、南沢さんは眉間に皴を寄せる。不味いこと言ったか、俺。
「へー、お前は高校でも俺のこと追いかけて来るのかと思ったけどな」
…えっと、それは俺に追いかけて欲しいということ?確かに、中学は南沢さんを追いかけて来たけどな。
「お前が思ってるの違うからな」
「!南沢さん、俺頑張ります!」
聞こえてねぇ、とか南沢さんがなんか言ってたけど、気にしない。よし、南沢さんの希望している高校に俺も行くことに決めた。
「でも、お前の成績で無理だろ」
「そうですけど」
「まあ、神童にでも教えてもらえば?あいつ、頭良いんだし」
「南沢さんでいいじゃないですか」
「知るか、待っててやるだけ有り難く思え」
そういって南沢さんは、教室に帰って行った。俺は、本気で勉強どうすっかなって思ってた矢先に、ポケットの中の携帯が震えた。誰だ?
見てみると、今さっき話していた南沢さんからのメールだった。言い忘れか?そう思いながら、メールを開いて読むと俺は途端に顔を真っ赤にした。
「楽しみに待ってる…、うわ、なんだこれ南沢さんのデレ?きも」
そう口に出しながらもにやける俺の方がきもい。
追いかける?追いかける!
(にしても、勉強どうすっかな)
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倉間は、中学は南沢さんを追いかけて来たらいいなと。テレビで、雷門のサッカー試合見て南沢さんのプレイに惚れ、来たみたいな。高校でも追いかけてみればいいんじゃないかな。