あなたの笑顔や声や仕草

全てが私を惹きつけます





―――リアルシンデレラ





いよいよ明日が本番
今は最終準備をかえと二人で抜け出して、トイレに居ます



「もっと指で広げて!」



「無理無理怖いいい…!」



「ああああ、もうっ貸せや!」



どうしてもコンタクトが入れられない私は痺れを切らしたかえにコンタクトを奪われた



「もうちょい…入った!」



あんなに苦戦したコンタクトが二つの目に思ったよりもすんなりと入り、
歪んでいた視界がクリアになって、かえの顔がはっきりと見えるようになった



「や、やった!」



「………」



「どしたのかえ」



「あんた…どんだけシンデレラ役にハマっとんねん」



「は?」



「よっしゃ任しとき!台本変えてくるわ!コンタクト外して帰って来いよ!」



そう言うが早いかかえは猛ダッシュで消えてしまった

仕方がないので言われた通りコンタクトを外し眼鏡を掛けてトイレから出ると、完成した王子様の服を着た白石くんに会った



「お、灰上さん、コンタクト入らんかったん?」



「ううん、入ったよ。それより白石くん…似合ってるね」



本物の王子様みたい、そう言うと白石くんは少し俯いておおきに、と小さく言った



「衣装係の人が呼んでたで、多分灰上さんのも出来たんと思う」



「そっか、ありがとう!じゃあ行くね」



「おん。……あ!」



「ん?」



「本番、頑張ろな!」



「…うん!」



白石くんは本当にキラキラしている
こんな素敵な人に恋をしている私はきっと幸せ者だ



(ちょお台詞変えるで!)
(えええ今から!?)
(あん?)
(ナンデモナイデス!)






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