これは、私の奮闘記。




「にーおっ!」


「‥‥」


「また名前忘れたの?都雨だってば!」


「‥‥苗字じゃいかんのか」


「下の名前がいい!」


一方通行?大正解。
何度名前を教えても呼んでくれないし
目も合わせてくれない。

それでも、話しかけるのはやっぱり好きだからで、クラスの皆もなんだかんだで応援してくれているし、丸井の温かい目にも慣れた。(最初は怖かった。ドラ○もんの温かい目にそっくりで)


きっかけは忘れもしない体育館倉庫での出来事。

体育が終わったあと体育委員の私は使った道具を倉庫に戻しに行った。
そこで銀色の尻尾らしきものを見つけて興味本位で覗いたら人間だった。心臓飛び出るかと思ったのを今でも忘れない。

同じクラスの尻尾、基仁王はどうやら体育をサボって寝ていたようで
ゆさゆさ揺すると気怠げにその長い睫毛に縁取られた瞼を開いた。


「ん、‥なん‥っじゃ!!」


「じゃ?」


仁王は私を見ると物凄い勢いで起き上がった。


「暁!?‥な、んでお前さんがここに‥?」


「‥体育委員だから。それより、同じクラスの仁王くんだよね?もう授業終わったよ」


そう言うとぱちぱちと瞬きをしてから


「あんがとさん」


そう言って笑った。

そのとき私の心臓、というか身体の中心に電気が走った(絶対)。
擬音をつけるならビリビリドキューン。

それからというもの、寝ても覚めても仁王が頭を占めていて、積極的に話しかけたりアプローチを必死にした。

でも仁王は全く私のことを何とも思っていないようで、寧ろ嫌がられているように思う。


「ねえ、仁王。あんたはどんだけ私のこと嫌いなの、」


ぷい、とそっぽを向かれ悲しくなって、思わず自分が傷つくことが分かりきっている質問をしてしまった。

聞いたあとで後悔していると


「嫌い?‥そがいなこと、言うとらんぜよ」


予想外の返答だった。
周りはざわりとこちらに注目し仁王はまたふいと向こうを向いてしまった。
全てが、私を傷つけるには充分で、


「‥む、無関心、てことですか。嫌いにも、なってくれないんだ‥」


じわり、と溢れる涙を必死に堪えて教室を出ようと仁王に背を向けると、肘辺りを誰かに掴まれた。

私の後ろには席に着いている仁王しかいなくて必然的に掴んでいるのはそいつで間違いない。
なんで…


「‥‥待ちんしゃい、」


「は、離してちょろ毛!」


「ちょろ‥、」


周りがぶふっ、と吹いたのなんか気にしてられない。
必死に涙を堪えようと唸っていると(威嚇でもある)


「…無関心でもなか。















‥‥好きじゃ‥、暁」


しん、と静まり返る教室。
脳が何度も何度もリピートする。
好き?好き。誰が、何を。私?仁王が、私を‥?


「‥う、ぅぅ‥っ」


本格的に溢れだした涙を拭う余裕もなくいつの間にか席を立っていた仁王を見上げる。

今日だけで何度予想を裏切る気なのか
いつも無表情な仁王の顔は真っ赤で、夢でもいいと思える程に幸せな気持ちになった。


(あなたの胸にダイブ!!)


((ぅお、!)(っねえ、いつから!?)(え‥)(ねえ‥?)(ぅ゙‥入学、した日から)(((二年間も!?)))(入学‥もしかして、あの方言の男の子!?)(気付くの遅いナリ‥))



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甘々目指すつもりが
ギャグ‥いや、甘々です!






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