ふたりで奏でるソリスティア【前編】3


「HAYATOくん、なんだかお肌の調子いつもより良いんじゃない?」

慈しむように頬を撫でられて、思わず背筋に鳥肌が立った。鏡の前でうっとりとした表情を浮かべるその人物と目が合う。女性らしい口調だが、れっきとした男性だ。芸能界の裏方を担当する人々にはこの手の男性が意外と多い。
彼はいつも本番前のHAYATOのメイクを担当しており、デビュー当時からの付き合いだった。同期のアイドルとはあまり話せないようなことも、気軽に打ち明け合える仲だ。
HAYATOは瞬きを何度か繰り返して首を傾げる。

「へ?ホントに?」
「ホントホント!だってファンデのノリが全然違うわよ〜!どうしたの、もしかして……恋?」
「もー冗談でも駄目だよおっ!僕はアイドルなんだからね!」

形だけ怒ったような素振りを見せると、彼は逆に嬉しそうな顔で「きゃあ〜HAYATOくんに怒られちゃったわあ」と野太い悲鳴を上げる。なんということもない、いつもの軽口だった。
互いにこれも仕事の内だということを分かっている。一方はHAYATOというアイドルとして、一方はノリの良いオネエ系メイクアップアーティストとして。

「……でも、HAYATOくんって最近ちょっと雰囲気変わったわよねえ」
ふと、彼が思い出したように呟いた。その間にもメイクを進める手は休んでいない。
HAYATOは視線だけを上に上げて、言葉の続きを待った。
「元気で明るいのはいつもだけど、時々ふっと見せる鋭さ?ストイックな感じ?それがたまらないのよねえ〜!アタシ素人だから専門的なコトは分かんないけど、歌い方もちょっと変わったでしょ?前に音楽番組でHAYATOくんの歌を聞いた時びっくりしたもの!失礼だけど、『あれっこんなに上手だったっけ!?』って思っちゃって!」
「え……そ、そうかにゃあ……?」
「そうよぉ!イイ意味でHAYATOくんらしくないっていうか!」
「――HAYATOらしくない……?」

ぴしりと、二人の周囲の空気が凍った。聞き捨てならない言葉がHAYATOの耳に入ったからだった。
「あっ、だからぁ、イイ意味でってことよイイ意味で!新しい一面を垣間見せるのも大事でしょぉ?それに歌が上手くなるに越したことはないんだし……」
慌てて彼が弁明するように言葉を継ぐが、HAYATOにはもうその声は一片たりとも聞こえていなかった。





バラエティ番組の撮影を終え、マネージャーの氷室が運転する車でマンションへと向かっていた。氷室には表向きそこが自宅だと言ってある。マンションまで送ってもらい、そこからタクシーを呼んで早乙女学園まで帰る――仕事がある日はいつもこうやって、誰にも気付かれないように二重生活を送っていた。帰りは日付を越える頃になるのが常だったが、もう慣れたものだ。
HAYATOの仕事と人々からの視線から解放されたトキヤは、重い体を後部座席に預けた。
車の外は雨模様だった。空は雲に覆われ、月を隠している。ぱたぱたと小雨が車の窓を叩くのを、トキヤはぼうっとした表情で見つめていた。

早く寮に戻りたい。戻った所で自分を取り巻く状況が何か変わるとは思えないが、少なくともこの狭い車内にいるよりはましだった。息苦しい思いをするのは仕事のある日だけで充分だ。
それでも最近はHAYATOの仕事が増え、自由な時間を削らざるを得なかった。砂月と食事をする日も減ってきている。

(……砂月さん)

目を閉じてその名を呼んだ。彼は今夜も一人で寂しく夕食をとっているのだろうか。いや、こんな時間だからもう寝てしまっているかもしれない。
かつてはあんなにも嫌がっていたはずなのに、トキヤにとっては今や、砂月と共に食事をするあのテーブルが一番心の落ち着く場所になっていた。慣れというものは本当に不思議なものだ。
まだ彼には、真斗から教えられたナス料理を振る舞っていなかった。早く食べさせて、彼が驚く顔を見たい。おいしいと言ってもらいたい。仕事さえなければ、すぐにでも彼の部屋の扉を叩きに行くのに。……仕事さえ、なければ。

「HAYATO」

運転中の氷室が声をかける。顔を上げると、運転席のバックミラー越しに氷室がこちらを見ているのに気付いた。この人はいつも「HAYATO」と呼ぶ。仕事中も、そうでない時も。彼の中に「トキヤ」の居場所はないのだろうと思った。価値があるのは、アイドルとしてのHAYATOだけなのだ。
「何でしょう、氷室さん」
「いや……いつもと少し様子が違うから気になってな。撮影中も注意力散漫だっただろう」
マネージャーだけあってよく見ている。確かに今日のトキヤは本調子ではなかった。頭の中で、今日言われた言葉が何度も繰り返される。

――HAYATOらしくない。

それは、最も忌避すべき言葉。良い意味だろうが悪い意味だろうが関係なかった。そう言われること自体があってはならないことなのだ。
「……今日、メイクさんに言われました。雰囲気が変わって、HAYATOらしくなくなったと」
声を抑えて呟いた。できることなら聞こえない方がいいと思いながら。だがその呟きは間違いなく氷室の耳に届いてしまったらしい。

「実は俺もそのことを言おうと思っていた」と、氷室は前を向いたまま気まずそうに言った。
前方で信号が赤に変わり、二人を乗せた車はゆっくりと止まった。車のアイドリング音と微かな雨音が車内に響く。
「……最近のお前は素を出しすぎだ。『HAYATO』が崩れてきている」
予想通りの言葉だった。トキヤは表情を変えずに俯く。

――HAYATOでいる時にも、少しずつ「トキヤ」の心音が大きくなっていることは、彼自身も僅かながらに自覚していた。
偶像としてのHAYATOではなく、一ノ瀬トキヤという一個人を認めて欲しい。トキヤとして歌いたい。
今まではそんな願いもすぐに否定できたはずだ。たとえHAYATOに求められているものが望み通りの在り方でなくとも、この道を選んだのは自分自身なのだから――そうやって、自分の願いを小さく小さく切り刻んで、形がなくなるまで溶かして。機械のように自らの意志を閉ざすのは簡単だった。
かつては容易にできていたことが、今はとても難しい。いつから自分はこんなにも我が儘になってしまったのだろう。……きっとそれは、

(あの人に……砂月さんに、出会ってから)

彼――砂月が選んだのは「一ノ瀬トキヤ」だった。HAYATOとしての価値は、きっと彼にとって重要な意味を持たない。砂月はいつの時もトキヤ自身を見ていた。
だから、思ってしまった。「トキヤ」を必要としてくれるのかと。「トキヤ」でいてもいいのかと。その問いはやがて願いに変わる。すなわち、「トキヤ」でいたい、と。
心の内に生じた願いは波紋となって、それまで完全に切り離されていたはずの「トキヤ」と「HAYATO」を繋げた。少しずつ、少しずつ、作られた「HAYATO」の個性の中に「トキヤ」の意志が注ぎ込まれていく。
初めは目に見えない程の変化も、やがては仕草や歌い方に影響を及ぼしていった。HAYATOという完璧な偶像が揺らぎつつあった。

気付かない振りをしていようと思っていた。その変化が次第に受け入れられていくのではないかと淡い期待を抱いていたからだ。
だが、「HAYATO」にのみ価値を見出す人々は、僅かな揺らぎも許さなかった。偶像は常に作り物としての美しさを保っていなければならない、そこに人間らしさが入り込んではならないと。無言の圧力がトキヤを責め立て、微かな呼吸をも奪っていく。例えばそう、今目の前にいる氷室のように。

「何かあったのか?今までは完璧にHAYATOのキャラクターを演じきっていただろう」
「すみません……気が、緩んでいたみたいです」
「自覚しているならいい。これからはしっかりやってくれ。……お前はHAYATOなんだから」
「……はい」

膝の上に置かれた手に視線を落とす。形よく整えられ、綺麗に手入れされた爪。
こうして丁寧な処置が成されているのは、自分がHAYATOだからこそだ。もしアイドルでなかったら、爪の手入れなど無縁の世界でずっと生きていたはずだ。けれど今はそんな「もしも」を想像する余白も見出だせない。HAYATOとしてステージに立つことを選んだ瞬間に、この体もこの心も自分一人のものではなくなった。偶像を求める人々の共同幻想に取り込まれ、大衆によって徒に消費されていく道が一筋続いているだけだった。

一ノ瀬トキヤという器はHAYATOでいるために存在する。だから氷室も、彼を「トキヤ」とは呼ばない。
最初から分かっていたことだ。叶わない願いを抱いても結局振り出しに戻るだけ。それなら取るべき行動は一つだけ。自分の心をぴったりと塞いで、外からの刺激を完全に遮断してしまえばいい。
信号が青に変わり、車が雨の道路を再び走っていく。窓を叩く雨音はどこまでも無表情に、トキヤと外の世界との断絶を語りかけてくる。いっそ窓を開けて雨に濡れてしまった方がどんなにか楽だろう。
早乙女学園の外には、「トキヤ」を必要としない世界が広がっている。求められているのはHAYATO。トキヤは――いらない。





何度目かを数えることをやめた二人の食卓は、いつもと変わらない平凡なメニューだった。ご飯に味噌汁、そしておかずを何品か。先日真斗から教えられたとっておきのレシピは、どうも気が乗らなくてまだ試せていない。
ここ最近は連続して仕事が入ったこともあり、こうして二人で夕食をとるのも久しぶりだった。仕事中はあれほどこの時間を望んでいたはずなのに、いざ砂月本人を目の前にすると素直に嬉しいと思えなかった。「HAYATO」に没頭している時は余計なことを考えずに済んでいたが、早乙女学園では――とりわけ四ノ宮砂月と相対する時はいつにも増して「トキヤ」を意識してしまうからだろうか。

砂月はトキヤの目の前で黙々と箸を進めていた。食事をする時の彼はとても静かだ。それを見てトキヤも早く食べ終えてしまおうとするのだが、箸を持つ手は一向に動かない。僅かな量を一口だけ食べて手を止め、また一口味噌汁を啜って止まる。こんな調子ではせっかくの温かい食事が冷めてしまう。
そうしている間に砂月は食べ終え、じっとトキヤの様子を見ていた。だがトキヤはその視線に気付いておらず、自分の作った料理がまるで死ぬほど不味いものであるかのようにちまちまと食べ続けている。その間二人の視線は決して交わらなかった。トキヤが顔を上げようとしないのだ。
さすがに砂月もこの様子には違和感を覚えたらしく、トキヤを見つめる視線が訝るものへと変わる。だが何も口出しはしなかった。砂月が言葉を発したのは、トキヤがやっと最後の一口を食べ終えて箸を置いてからだった。

「お前、最近調子悪いのか?」
「……は?」

険を含んだ返事が返ってくるのは今日に限った話ではなかったが、この日のトキヤはすこぶる機嫌が悪いようだった。ただでさえ深い眉間の皺が三割増しだ。この状態ではあまり刺激を与えない方が賢明だとも考えたが、砂月にはトキヤに告げなければならないことがあった。
「今日の授業で歌っただろ、お前。模範だとか言われて。あれは一体どういうつもりだ?」

それは珍しく砂月がきちんと出席している授業での出来事だった。砂月の行動には勿論理由があった。その授業内でアイドルコースの生徒による歌の仮披露が行われたからだ。内容は全員に共通した課題曲を「自分なりに」歌うというもの。トキヤの歌声を聴いて作曲のイメージを膨らませるには絶好の機会だった。
龍也から第一に指名されたトキヤは、物怖じせずに堂々と課題曲を歌い切った。音程ひとつ間違えず、伸びやかで耳心地の良い、文句のつけようがない「完璧」な歌だった。トキヤが歌い終えた時、クラス中から鳴り止まない拍手が鳴り響いた。彼の完璧な歌に対する惜しみない称賛。誰もが、今回の中間課題のトップは一ノ瀬トキヤだろうと確信していた――ただし、ごく一部の人間を除いて。

その「ごく一部」の一人である砂月は、あの時に感じた強烈な違和感をここで吐露する。あれは気のせいではなかったと確かめるように。
「どういうつもりも何もありません。私は自身の最善を尽くして歌ったまでです」
「あんなのがお前の本気だって言うのか?俺は絶対に認めねえ。あの時……入学式の前夜、俺の前で歌ってみせた時は、あんな歌い方じゃなかったはずだ」

砂月がトキヤをパートナーに選んだきっかけとなったあの夜。トキヤが歌ったのはHAYATOの曲だったが、あの瞬間には、一ノ瀬トキヤのためだけに存在していたと思えたのだ。ひとつひとつの音に意味を込め、紡ぎ出す旋律を抱きしめるように慈しみ、月の光で照らす歌。那月ですら表現し切れないであろう繊細な音の響きを確かに感じた。

だからこそ、砂月には到底信じられなかった。あれほどの歌声が、何故今になってこんなにもつまらないものになってしまったのか。歌唱の技術は以前に比べて遥かに向上しているが、一方でそれよりも大切なものがぼろぼろと零れ落ちている。柔らかな月光は、作り物めいた眩しすぎる照明の光へと転じた。均一化された音への愛情はひどく薄っぺらい。
どうしても心に響いてこないのだ。完璧な歌声はおそらく多くの人間に讃えられるだろう。だが人々はいつか、「完璧」の裏に潜む空虚さに気付いてしまう。トキヤの歌はそれを――過性の流行の中で消費され尽くされる未来をも見越しているかのようだった。

「……認めない?私はあなたに認められるために歌っているわけではありません」

トキヤは冷たく言い放ち、砂月と目を合わせないように俯いた。
あの歌い方をした時から、こうして責められることは予測の範囲内だった。砂月はきっと、僅かな変化すらも見逃さないだろうと分かっていたからだ。それが無意識の信頼であることをトキヤは知らない。
彼の言葉を受けて、砂月はとうとう我慢ならないといったように荒々しく椅子から立ち上がった。その拍子にテーブルの上の箸が床に落ちてカラカラと乾いた音を立てた。砂月はそれにも構わず、テーブルの脇を回ってトキヤの席へと歩いて行った。

トキヤの背に緊張が走る。砂月を怒らせたことは一度や二度どころの話ではないが、それでも暴力は振るわれたことはなかった。トキヤが砂月に対して平手打ちを食らわせても、砂月は逆上するどころか平然と笑ってみせたのだ。単に本気ではなかったからかもしれない。だが、今の砂月は――間違いなく、本気の怒りを見せている。視線を合わせるのすら躊躇するほどに。歌に対しては決して妥協を許さない彼だからこそ、なおさらトキヤの歌を許せなかったのだ。

トキヤは自分を見下ろす砂月の視線を一身に受けていた。
本当は自覚している。あの時に歌った歌は、ただ譜面に書かれている内容を忠実に再現しただけだということを。音程や強弱、自らの解釈が求められる演奏記号ですらも、大多数の人間が納得するであろう範囲の中でしか行なっていない。確かにトキヤは最も美しく聴こえるための「最善」を尽くしたのだ。たとえそこに彼自身の意志が介在していなくても。
鮮やかすぎる原色で飾り立てられたHAYATOは、その色彩の暴力で周囲を巻き込み圧倒する。ならばその裏側にいるトキヤはどの色を選べばいいのか――トキヤとHAYATOとの間で揺らぎ続けるくらいなら、そのどれでもない色になってしまえばいい。どこまでもどこまでも自分を透き通らせて、限りなく透明な受容体になる。それがトキヤの出した答えだった。……その答えしか、出せなかった。

トキヤの歌は「完璧」という賛辞を以って讃えられた。だがその結果に後ろめたさを感じているのもまた事実なのだ。自分のしたことは歌に対する侮蔑と同じだ。砂月が怒りを見せる理由もそこにある。故にトキヤは砂月の鋭い視線を真正面から受け止めることができなかった。
頬に一発入れられる程度は覚悟していた。それだけの歌を歌ってしまったのだと自覚している。だが、次の瞬間に砂月が放った言葉は、そんな直接的な暴力など足元にも及ばないほどだった。

「――今のお前は、HAYATO以下だ」

それは心の臓を深く深く抉る一言だった。茨の棘を一息に呑み込んでしまったような痛みが、トキヤの胸に突き刺さって離れない。無意識の内に心臓の位置へと手を伸ばす。棘も何も刺さってはいなかった。トキヤを苛むのは内側から生じる痛みだった。いっそ殴られた方が楽だったろう。
膝の上で両手をきつく握り締めるトキヤを見下ろしながら、砂月はなおも言葉を続ける。

「お前の歌には色がない。感情の行く先を他人に委ねて、自分だけ傍観者でいるつもりか?ふざけるなよ……今のお前に比べたら、作られたHAYATOの方がずっとマシだ」
「……、」
「自分の好きなように歌いたければレッスンルームで勝手に歌ってろ。だが俺の曲でそんな真似をしたら許さねえ。お前の我が儘に俺の曲を使うな」
「…………あなただって、同じじゃないですか」

ずっと押し黙っていたトキヤが、吐息と共に言葉を押し流した。依然として二人の視線は合わない。砂月が「何のことだ」と訊くよりも早く、トキヤが乾いた空気を振動させる。
「あなたが欲しがっているのは、ただ自分の思い通りに歌う都合のいい存在でしょう。それなら私でなくても、他の誰かを探せばいい。あなたの身勝手さを私に押し付けないでください」
底冷えする声だった。砂月に煽られて怒りを露わにする時のような激しさはない。淡々と、雪が温度を奪っていくように拒絶する。

砂月は急に嫌な予感に襲われた。今まで掌の中で強く握り締めていたものが、小さな欠片になってはらはらと零れ落ちていく感覚。長い時間をかけて繋ぎ止めても、あっけなく離れていってしまう。
「おい、お前……!」
その寄る辺なさを振り払うように、砂月はトキヤの手首を掴んだ。がたん、と音を立ててテーブルが揺れる。なされるがままにトキヤは砂月に体を向け、そこでやっと二人の視線が合った。

一瞬、泣いていると思った。
だがそれは錯覚にすぎず、砂月の目の前には涙ひとつ見せないトキヤがいるだけだった。表情をなくした瞳が砂月を見つめている。その冷然とした目は何よりも雄弁に拒絶の意志を物語っていた。砂月でさえも気圧され、手に込めた力を緩めざるを得ない。手首の拘束が緩んだことを感じ取ると、トキヤはそのまま砂月の手をするりと解いて立ち上がった。二人の物理的な距離は縮まったが、それ以上に断絶された何かがある。

「もしかしてあなたなら、と――そう思っていたのに」

トキヤは独り言のように呟いて、棒立ちになっている砂月の横を通り過ぎた。透き通った風が頬を掠める。
その先に続く言葉を求めて砂月は咄嗟に振り返ったが、その時にはもう、二人の間にある空間はドアによって切り取られていた。





2013/03/03


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