バカップルへ30題(21〜30)


22.飲酒


「トウヤ、これ」
「え。……赤ワイン?なんか凄く高級そうだな」
「ゼミの教授が昨日海外の出張から帰ってきてね。お土産として貰ったんだ」
「……でもNは酒にあんまり強くないんじゃなかったっけ」
「それが問題なんだよ。せっかく貰ったはいいものの、自分で飲むとなると持て余してしまいそうで……キミの親御さんはワインを嗜んだりしないかい?」
「あー……母さんは結構お酒好きだけど」
「だったら是非ともこれを、」
「やっぱ駄目」
「えっ!?」
「Nが貰ったものなんだから、Nが飲むべきだ」
「でも一人じゃ……」
「俺と一緒に飲めばいいだろ?」
「……キミ、未成年だよね?」
「だーかーら、俺が飲める歳になるまで待っててくれってこと。ワインならそれくらい置いといても大丈夫だしさ」
「あ……、なるほどそういうことか。いいよ、キミが20歳になるまで大切にしまっておこう」
「あと4年ちょっとか……結構長いな」
「その間にじっくり熟成されているはずさ。……ふふ、楽しみだね」


4年後にもふたり一緒にいることをまったく疑わない主N。こうして一つずつ、未来への約束を積み重ねていくのです。
(2013/02/08)



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24.雪だるま


「トウヤ見てごらん、庭一面に雪が積もっているよ!」
「天気予報で思いっきり雪マークだったからなあ」
「雪は自然が生み出した実に素晴らしい現象だよね……雪の結晶の計算され尽くした形ときたら!黄金三角形も真っ青の完璧なフォルム!あれほど美しく整った数式が当たり前のように生成されているなんて、自然界は奇跡で満ち溢れている!そうだろうトウヤ!」
「いや、俺はNのそういう所だけはよく分からない……」
「自然界に存在する数式の美を解さないとは、キミは随分と人生を損しているね。雪を見て目を輝かせたことはないのかい?」
「普通に雪は綺麗だと思うけど、数式とか完璧なフォルムがどうこうとか考えたことはない、っていうかそれが当たり前だし」

「……仕方ないね。ボクにはキミに、雪がいかに美しい数式的集合であるかということをみっちり教授しなければならないようだ」
「は?別に教えてほしいとは一言も…」
「一刻も早くコタツから出るんだトウヤ。ボクたちには、雪だるまを作る過程にどれほどの計算式が必要かを確かめる義務がある」
「ちょっ、引っ張るなN、せめてこのみかんを食べ終わってから、」
「キミはみかんとボク、どちらが大事なんだい!?」
「いやその二択はおかしい」
「つべこべ言わずにコートを着るんだ、さあ!」
「はいはい」


雪が降ったことでテンションが異様に高いNさんと、それに振り回されつつ付き合ってあげるトウヤ。
この後、2人は綿密な計算の元に作られたパーフェクトな雪だるまを完成させます。(2013/02/08)



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25.バレンタイン


「確かNって甘い物好きだったよな?昨日の夜に作ったケーキがあるんだ。食べる?」
「もちろん食べたいに決まってるじゃないか!トウヤの手作りお菓子、いつも楽しみにしてるんだよ」
「どうも。……はい、これ。レシピ見ないで作ったから完全に自己流だけど、一応ガトーショコラのつもり」
「わあ……!なんだか食べるのが勿体ないかも」
「これはNの為に作ったんだ。食べてもらわなきゃ意味が無い」
「じゃあお言葉に甘えて……いただきます」
「……」
「……(もぐもぐ)」
「……どう?」
「――美味しい!やっぱりトウヤは凄いよ。こんなに美味しいものを簡単に作れてしまうなんて」
「昔から母さんにみっちり仕込まれてきたからな……そのおかげでNが喜んでくれるなら、いい」
「ボクはトウヤが作ってくれるお菓子が大好きだよ」
「……他には?」
「え?」
「他に言うことは?」
「えーと、その」
「……」
「……お菓子も好きだけど、ボクはトウヤの方がもっともっと……好き、だよ」
「……俺も」



ばかっぷる乙。バレンタインの夜は必ず二人きりでトウヤお手製ケーキを食べます。
(2011/01/27)



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