ねこまねが梟谷マネだったら

「イイなぁ梟谷!マネージャーが三人も!」

山本が言うのも無理はない。
音駒高校にはマネージャーがいないのだ。そして梟谷には三人もいる。
そして三人が三人共レベルが高いのだ。

「京治!」
「眞桜」

山本は赤葦に駆け寄る眞桜を見て顔を赤く染め、そして赤葦に恨みがましい視線を送った。
それを見て黒尾がゲラゲラと笑う。

「木兎さんがね!次の試合相手どこ?って!」
「眞桜も把握して。次は音駒」
「トサカさんのとこか」
「そう。絡まれたら無視していいから。噛みついてもいいから」
「噛み付くだなんて木兎さんにくらいしかしないよ」
「いいから」

赤葦は眞桜の頭を撫でながら失礼な事を言う。
だがこれも仕方ない。黒尾からはからかわれた覚えしかない眞桜は黙って頷いた。
家狸は赤葦と同学年であり、眞桜の破天荒ぶりに最初から振り回されていた為、元からその基質はあったのたが、更にやたらと面倒見の良い性格となってしまった。
だがその世話の甲斐もあって、眞桜は一番赤葦に懐いている。

落ち込む山本に黒尾は笑って声をかけた。

「眞桜にちょっかい出したら赤葦が怒るぞ」
「え!?あの梟谷のセッターが!?」

勿論経験済である。
黒尾は何処か遠い目をして言った。

「ああ。溺愛してるからな……」
「溺愛……」
「なんつか、保護者ポジションってやつ。眞桜も気にせず赤葦に頼りきってるからな」
黒尾は急に真顔になった。
「だからくれなんて言ったら何が起こるか正直わかんねーよ」

何より梟谷のマネージャー達が一番怖え。

黒尾は知っていた。
山本と黒尾が眞桜の話をしていた頃、赤葦と梟谷のマネージャー達が射殺さんばかりの目をして二人を見ていたことを。

「だから諦めろよ」

俺も。
山本に釘をさすと同時に黒尾は自分にも釘をさした。
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