ねこまねと赤葦くんが付き合ったら

赤葦が音駒と梟谷のテスト期間が重なったということを知ったのは、眞桜が今週テスト期間だから一緒に帰ろうと言ったからだった。
俺もテスト。
じゃあ勉強教えてよ!
といった風に眞桜と赤葦は一緒に勉強をすることになったのである。
勉強会は赤葦の部屋で行われることになった。
勉強会とはいっても赤葦が勉強の出来ない眞桜に教えるだけなので、赤葦自身の勉強にはならないだろう。
そして彼氏の部屋で勉強会など、何か別のことを始めてしまいそうなものだろうが、それにおいてもこの眞桜なら問題ない。
赤葦は眞桜に、鞄の中に入っていた勉強道具を全て出させ、まず一番上に置いていた数学のワークを開かせた。……が、これがまぁ進まない進まない。
一問目の(1)の半分で止まっている。
数分後、眞桜はシャーペンを放り投げた。

「もうやだわたしに勉強は向いてない!」
「テスト期間だから勉強してるんだろ」
「そうだけど……数学分かんないし、国語も英語もわかんない!あ。これなに」
「どこ。……これは公式に入れるだけ」
「定数aって、何?」
「そこらへん追求する前に平方完成して」
「わかんな……」

しかめっ面で振り返った眞桜に赤葦は、その不平を止めるかのように自分のソレで口を塞いだ。
これまでムードも何も無かった部屋で、いきなり雰囲気が出たのは普段やかましい眞桜が黙って顔を赤くしたからだろう。恋人が二人で彼氏の部屋にいて、これまでムードも何も無かったというのはどういうことかなどを突っ込むのはやめた方が賢明である。
二、三秒足らずのキスに眞桜はぱくぱくと魚の様に口を開けて、閉じた。

金魚だ。まるで。

赤葦は思ったが、それは静かに喉の奥に押し込んだ。
そんな言葉一つでこのムードが崩されたらたまったものでは無い。
この天真爛漫な故に可愛い馬鹿な珍獣相手にムードやら雰囲気やらを作るのはとても骨が折れるのだ。そこらへんに眞桜はまるで聡くない。

「勉強、は?」
「今できるの?」
「や、でも、わたし頭悪いし……」
「今更だろ」

キスをもうひとつ。頬に落として赤葦は眞桜を抱きしめた。
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