→▼ 赤葦くんHB1
いつもの通学路に普通なら見ない人が立っていた。
音駒の制服。生えたての若木のようにひょろりと長い体躯。黒髪のツインテール。太腿の半分までもない短いスカート。太腿の半分を覆う長い黒い靴下。家狸だった。
「赤葦くんんんんん!!!」
「うわっ、びっくりした」
「何で言ってくれないの!?木兎さんから電話来て初めて知ったんだけど!!」
「……で、ここでずっと待ってたりした?」
「っだって!赤葦くんの家知らないし!ここいたら会えるかもって……」
「いや、嬉しい。ありがとう」
「まだ言ってないよ!」
お誕生日おめでとう、プレゼント用意できなくてごめんね。
寒い中ずっと待ってくれて祝ってくれるだけでも嬉しいのに。握った手はとても冷たくて、それが不謹慎にも嬉しく感じてしまった。