▼ かわいいね!研磨くん!

「研磨、風邪?」
「わかんない」
「試合前だからねー。注意してね」
「うん」

研磨のスマートフォンを触りながら、眞桜は研磨の隣で夜久から貰ったポケットティッシュを渡す。
研磨は大人しく鼻をかんだ。

「眞桜も大人しくしててね。注目されたら面倒だし」
ティッシュをゴミ袋に入れて、眞桜が遊んでる自分のスマートフォンを覗きこむ。
自分より下手ではあるが、そこそこ上手い。
「注目?」
「されるよ」
「されたら駄目なの?」
一段落ついたゲーム画面から興味をなくしたように眞桜は研磨の方を見た。
「駄目。……恥ずかしいし、ボールなんか触ったら何処かからか引き抜かれるかもしれないし」

眞桜はスマートフォンを研磨に返し、あんぐりと口を開いた。
確かに眞桜はバレーが上手いがそれはもう過去の事だ。なのにそんなことを研磨が言うとは。
呆然とした様に眞桜は呟いた。

「研磨にゃんデレ期?」
研磨は少しだけ顔を顰めた。
「なにそれ。気持ち悪い」
「ひど!」

という後部座席の会話に主将とオカンの顔はゆるゆるである。
チームの末から二番目の二人を猫可愛がりしているのは間違いなくこの二人だ。そして余談だが、末っ子はリエーフである。
「あー、くっそ癒やされる」
「だなー」
「俺は研磨にゃんも眞桜にゃんも持ち帰りたいんだが」
「黒尾キモッ」


アンケリク:研磨とゆるゆるの日常


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