▼ 不味いよ!夜久さん!

「夜久先輩!また野菜炒めですか?」

夜久が学食で一人でもりもりと野菜炒め定食を食べていた所、トレーに山盛りの唐揚げの乗った丼を持った眞桜がやって来た。

「お前は……唐揚げ丼か……しかも大盛り。野菜は?」
「無いです」
「は!?」

割り箸をぱちんと割って手を合わせ、大きな唐揚げを齧る。
モグモグと四、五回噛んで飲み込みご飯を放り込む。
また数回咀嚼し、喉が動いて栗鼠のように膨らんだ両頬が普通通りになった時、眞桜は口を開いた。

「野菜あんまり好きじゃないんですもん」

やっぱりか。
胃下垂なのか食べても太らない眞桜だが、それでは余り健康には良くない。
余り噛まないし。
夜久は綺麗な箸使いで三枚くらいのキャベツを掴み、眞桜の口元に持っていった。

「ほら、食え!」
「ええええ」

眞桜は心底嫌そうに、でも夜久の言う事を聞かないという選択肢は無いため、それを口に含み、咀嚼し、飲み込んだ。
夜久はそれを確認して笑顔になった。

「美味いだろ?」
「うさぎかなんかにでもなったような気分です」

水を飲み、唐揚げを頬張る眞桜はやはり肉食獣らしい。

「このやろっ!」

夜久は盛られた唐揚げを一つ奪い取り、一口で食べた。眞桜は口を尖らせる。

「太りますよー」
「筋肉だっつの!」


アンケリク:夜久さんと学食で野菜炒めを食べる


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テーマ「人外ファンタジー」
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