▼ びっくりだよ!ねこまねちゃん!

「音駒のマネちゃん」

ぼんやりと梟谷のマネージャー達の仕事を手伝っていた眞桜は木葉に話し掛けられた。

「こんにちは。……スイマセン何さんですかね」
「素直だねー。木葉。三年でーす」
「このは、さん。よろしくおねがいします。音駒の家狸眞桜です」

木葉は丁寧にお辞儀をして挨拶をする彼女の自分より遥かに低い位置にある頭にドキドキと心臓を高鳴らせる。

「家狸さんさ、バレー好き?」
眞桜の目がぱっと輝いた。
「超好きです。やるのも好きです」
「だよね!あと木兎煽ててくれてありがとな〜。あいつちょっとの事で落ちるからさ」
「煽てたつもりは無かったですよ!凄いと思ったんで言っただけです」
「それがありがたいんだよ。ありがとな〜」

そんな時。
彼らのところにサーブの流れ玉が飛んできた。
木兎の馬鹿でかい声も飛んでくるが、時既に遅し。

「スマン!そっち流れた!」
「はー……!?」
「あ」
眞桜がぺろりと舌舐りをした。ぎらりと猛獣のような眼でボールを捉え、細腕に当てた。
周りが息を呑む。
綺麗に上に上がったボールを眞桜は両手でキャッチした。

「これ誰にお渡しすればいーんですか」
その目にさっきの様な煌々と燃える色は無い。猫のように可愛らしい笑顔があるだけだ。
その中で一番最初に動いたのは木兎だった。
ボールを抱えたままの眞桜の脇に手を入れ振り回す。眞桜はピシリと固まってしまった。

「すっげー!!すっげーぞ眞桜!よく取った!俺は感動した!」
「あっ、ありがとう、ございます……?」

目を回しながら返事をする眞桜に一同が駆け寄って木兎から救出した。

「すご……」

赤葦は思わず感嘆の声を洩らした。
眞桜は一瞬目を見開き、そして照れくさそうににこりと満面の笑みを浮かべた。


アンケリク:木葉と絡む


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