▼ 恐ろしいです……大地さん

音駒の新幹線の時間が迫ってきて、いよいよ帰る時間となった。

「潔子先輩いいい」
「またね、眞桜ちゃん。メール、待ってる」
「はい!!」

半泣きで清水に抱き着く眞桜とその頭を撫でる清水に田中と西谷は涙した。

「眞桜!」
「ひなちゃん!次会うときにはもっと上手いレシーブしてね!」
「おう!」

ぎゅうううっと抱きしめあう日向と眞桜を見て、ほわほわとした笑顔を浮かべる菅原と東峰、苦笑する澤村そして羨ましそうな顔をした影山がいた。

「あそこ仲いいなー」
「だよな。可愛いしなー」
「王様顔怖っ」
勿論ここでも月島は茶化す事を忘れない。

そして薄ら寒くなる笑顔でギリギリと音がなる様な力で握手をする主将達に眞桜は焦って止めに入った。

「く、クロ先輩!アカンですよ!その……ひいいいい!」
「?俺が怖い?」
「こ、こわっ怖くないです」
「?」
「すっスミマセン!怯えてなんかないので怒らないでえええ!!」

黒尾は慣れているのだが、澤村の薄ら寒くなる笑顔は効果覿面だった様で、眞桜は夜久と菅原、略しておかんコンビの元へ逃げ出した。
当たり前といえば当たり前の結果である。
こうして烏野と音駒は再会を誓い、別れたのだ。


その帰りの新幹線で、眞桜は研磨の肩に頭を預け、鼻歌混じりにラインの新しい友達の欄を見つめていた。
伊達工、青城、そして烏野。
それぞれで増えた友達に眞桜は自然と笑顔になる。

「伊達工居心地良かったなぁ。青城も楽しかった。あ、ラインの友達増えましたよ。及川ブロックしたけど」
「及川って?」
ゲームから目を離さない研磨がすかさず質問した。
「いきなりわたしに接吻かましたやつですよ」
「あぁ、あのイケメン」
前の席にいる夜久が苦い表情で返す。
「イケメン?堅治の方がイケメンですよ!」
「コラ。一緒にお風呂なんて入っていだろうな」
「入ってないですよ。昔はいっしょでしたけど」
「!?」
夜久の隣にいた黒尾が反応した。
「あ、堅治の写真です。これ去年のかな」
「見せろ!」
眞桜のスマートフォンを奪い取り、黒尾と夜久はじっと写真を見つめた。
確かに、眞桜の親戚というだけあって、顔はかなり整っている。

「…………イケメン」
「だな」

夜久は観念したように、黒尾は悔しそうに唸りながらスマートフォンを眞桜に返した。

「夜久!俺とどっちが」
「堅治くんだろうな」
「…………研磨!」
「おれに振らないで」
「眞桜!」
「堅治」
「凹むなイケメン」

夜久の笑い混じりのフォローに更に凹みながら黒尾は後ろの眞桜の頭を叩いた。勿論その手は眞桜に噛み付かれた。


アンケリク:澤村を本能的に警戒する。


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