▼ 美しいです!潔子さん!
その時田中はひたすら、ただひたすらに興奮していた。
「あの美少女はどちら様ですかね」
顔を赤く染めてじっと眞桜を見つめる者が約二人。 田中と西谷である。 唯一の女子マネである事と、その可愛らしい容姿を買われ眞桜はお出迎えを担当していた。 とはいえここは音駒の敷地でも何でもないのでお出迎えというのは何だか変な話ではあるが、要は偵察のようなものだった。 烏野に女子マネがいるか、そしていた場合、その方は美人でいらっしゃるのか。 それを知る為だけのお出迎えである。
「音駒バレー部マネージャーの家狸 眞桜です。今日はよろしくお願いします」
ぺこりと下げた頭に、ウェーブのかかったツインテールが揺れる。 そして顔を上げた時、眞桜は最大限の淑やかな笑みを浮かべた。 その笑顔はキュンと田中と西谷のみならず、日向の胸も撃ち抜いた。 だがしかし。彼女は彼女で烏野のマネージャーに視線が釘付けだった。
うわぁお、び、びびび美っ美神……!
眞桜は出来る限り早く山本の元へ走った。 そして山本の背に隠れながら、美神!美神がいた!と騒いでいた。 山本はそれを信じず田中と睨み合いをしている。
眞桜は早々とその場から抜け出し、ボトルの準備をしていた。 そこで彼女は同じくボトルの準備をしていた美神こと清水潔子に出会った。
「くぁ、烏野さん!」 「落ち着いて。……何年生?」 クスリと笑った彼女に眞桜の顔が赤くなる。 「に、二年です……あ、貴方様は……」 「三年よ。私は清水潔子。今日はよろしくね。眞桜ちゃん」 「ふぁ……!?よ、よろしくお願いします!潔子先輩!」 「元気だね。音駒もマネージャー、一人?」 「はい!一人なんです。でも女の子扱いはされないんですよね……」 「眞桜ちゃん可愛いのに」 「!?なんですと!?」
そんな彼女達を見つめる者がやはり二人。
「天国だ……あそこが天国だぞ、龍」 「ああそうだなノヤっさん……美×美だ……」 「いいからアップしろ!」
恍惚の表情を浮かべた田中と西谷に澤村の鉄槌が下された。 そしてそれに気付かない彼女達は仲良くボトルを補充していく。
「潔子先輩!今回、音駒が勝ちます!」 「烏野も強いよ。吃驚させるから覚悟しておいてね」
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