▼ 大丈夫だよ、岩ちゃん!

「じゃあ送るわ」
「ありがとうございます!」

青城の練習が終わり、岩泉は眞桜を送ることになった。
合宿所は少し遠いが、帰りは走って帰れば問題無いだろう。
だが、変なのまでついてきた。
今日の事で眞桜を気に入ったらしい及川は一緒に送ると言って着いてきたのだ。
現在及川と岩泉で眞桜を挟んでいる次第である。

「青城、いいですね!うちもいいチームですけど」
「そうだな。音駒はどんなチームなんだ?」
眞桜は思案顔になる。
「うちはレシーブですね。武器は」
「安定したレシーブか……確かにそれは厄介だな」
「ねぇ及川さんも話に入れて!」
「黙ってろクソ川」
「岩ちゃんヒドい!徹泣いちゃう!」
「勝手に泣いてろ」

そして安定のウザさの及川である。
これで顔もよく、バレーも強いんだから世の中不公平だと周りは思うのだが、バレーの場合は彼の弛まぬ努力の賜物であるので知っている者は誰も言及しないのだ。眞桜も何度も噛み付きたい衝動に駆られてはいるが、その努力とセッターとしての力が今日一日でも少しながらも理解しているので噛み付かなかった。我慢した。それにセッターだし。

「家狸は何故東京から来たんだ?白鳥沢の偵察か?」
岩泉の質問に眞桜は頭を振った。
「いやいや違いますね。宮城の学校と練習試合あるんですよ」
「エッ!及川さん聞いてないんだけど!」
「黙っとけクソ川」
「ヒドいよ岩ちゃん!眞桜ちゃん!!」
「おいバカ!家狸に抱き着くなっ、て……」

あ。やべ。
及川が抱き付いた反動で、眞桜を助けようとした際に、思いっきり眞桜の尻を掴んでしまったのだ。
岩泉は一気に顔を赤くした。
眞桜はぱちくりと大きな目を瞬かせている。

「……」
「…………わ、悪い……」
「岩ちゃんセクハラー」
勿論元凶は茶化すことを忘れない。
が、茶化した瞬間尻にローキックを食らったのだが。
眞桜は大して気にすること無くのんびりと言った。
「事故ですし。大丈夫です。岩ちゃんさんなので」
「ナニソレ!?俺はダメってこと!?」


アンケリク:岩ちゃんのラッキースケベ


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -