▼ 猫みたいだね!研磨くん!

「……今日眞桜、研磨にくっついていかねーな」
「昨日もだったよな」

どことなく怠そうな眞桜は研磨どころか夜久にもくっついていかない。
仕事をするにも動きが緩慢で、ぼんやりとしていることが多かった。

「恋煩いかもな」
「え?誰に?」
「赤葦」

黒尾は眞桜を茶化しに行き、やはり元気の無い様子で対応された。
母親ポジションの夜久はその様子に違和感を覚えた。
これは恋煩いとかじゃねーだろ。
夜久はじっと猫目を開き、彼女を見ていた研磨を振り返る。
研磨はバレーボールを弄びながらも眞桜から目が離せない様子だった。
普段くっついている眞桜が近くに居ないから、少し落ち着かないのかもしれない。思えばあまり機嫌も良くなさそうだ。

床に座り、何かに耐えるように唇を噛んだ眞桜に研磨がのそっと近付いた。

「……眞桜」
「けんま?」

へらりと笑ったつもりだったのだろうが、全くうまく笑えてない。それに研磨は反応し、眉を顰めた。
膝を抱えている眞桜の隣に座って距離をつめる。
そこそこに激しい運動をしていた研磨の湿った髪の毛が眞桜の首に、肩に触れる。

「どうしたの?けんま……」
「眞桜が……」
「?」

言葉のかわりに肩に猫のように擦り寄る研磨の手を眞桜はきゅっと握った。
猫達が戯れているような不思議な和やかさに部員達は息をついた。
山本なんかはいつもこうであればドキドキできたのにと深い深い溜息を吐いている。
その実眞桜は生理痛であまり動けなかったのだが、男所帯であるバレー部ではわかる訳もなく。
夜久は後々気付き、ジャージを渡して頭を撫で、そして出来る限り手伝っていた。
そして本来気付くべき主将だが……。

「和むな……」
「黒尾……キモい」

猫二人に一番和んでゆるゆるとした顔をしていた。

アンケリク:研磨との絡み


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