キリリク | ナノ


▼ 浅北Side








敏感な岸田の反応に柔壁を擦る動きは止めないまま、片一方の手を相手の前へとまわし、チョコレートではない本物の屹立を握り込んだ。
ゆるゆると扱き上げればすでに立ち上がっていた芯は大きく脈打ち、先端から白濁の液を飛び散らせる。

「ご自分のモノをしゃぶりながら、興奮してたんですか?」
「ち、ちがっ」

あっけなく達したことに耳まで赤くした相手に、揶揄を投げて低く笑う。手についたぬめりはそのままに、再び萎れた芯に指を絡めて上下に扱き、相手の抗議は聞かぬ振りで秘部に呑ませた指を抜くと、十分に潤んだそこへ猛った自身を突き入れた。
息を呑む微かな音に、指の時とは比べ物にならないほどの締めつけが結合した芯を圧迫してくる。

「いっ…ぁあ…、あ、さき、たさ…っ。…いきな、り、は…っ」
「ああ、…すみません。俺も限界だったので。苦しいなら抜きますか?」
「…っけよ」
「聞こえませんね」
「動けよっ」

どうせ途中でやめられないのは、なかの熱で承知だ。相手の口から引き出した言葉に満足し双眸を眇めると、片腕で腰を引き寄せさらに深く自身を埋め込んだ。根元まで銜え込ませると、芯を握る手を腰の律動に合わせスライドさせる。
次第に一度は萎れた欲も再び硬度を増して立ち上がり、すぐに反り返って先端から蜜を滴らせ始めた。クチュクチュといやらしい音をたてて岸田のペニスを扱きながら、短いリズムで腰を打ちつける。

「利一さん…」
「…っ…、ぁ…ハ、ァッ……」
「まだ、食べ残してますよ?」

岸田の頭を掴んで、チョコレートのピンク色をしたペニスに押しつけた。快楽から思考が上手く機能していないのか、相手は言われるままに乱れた息を零しながらも、半ばほどまで溶けたチョコレートの棒を口に含み、懸命に舌を絡ませる。チョコレートとはいえペニスに模したものを銜え舐めしゃぶる相手を後ろから突き上げることに、少なからずの興奮が下肢の猛りを増長させた。

「…ぁっ、も…ぅ、む、り…っ。イカ、せ…てっ…イキた、…っ」

限界を告げるかの苦しげな声。肩越しに振り返ってくる顔が、涙と涎とに汚れ、快感に溺れたその表情が壮絶な色気を醸し出している。そんな岸田の様子に煽られ、膨れ上がった熱に小さく舌打った。

「…そんなヤラしい顔でおねだりなんて、いつ覚えたんです?」
「やっ…ぁ…はや、…くっ…」
「…仕方ありませんね」

こちらの許しが出るのを待っていたのか、手のひらに二度目の白濁を吐き出した相手に、射精の瞬間いっそうきつく柔壁を萎縮され、一瞬遅れて岸田のなかに自身を繋げたまま、塞き止めていた欲を吐き出した。

「…利一さん?」

ぐったりと畳に沈み、身じろぎ一つしない相手に、挿入したままだった自身を引き抜きながら声をかける。
返事はない。

「大丈夫ですか?」

もう一度声をかける。
やはり反応がない。

「利一さ…」
「聞こえてるっての」

三度目にこちらの言葉を遮って返事が返ってきた。
掠れた声が不機嫌そうに低い。

「怒っているんですか?」
「当たり前だろっ!!こんな恥ずかしい真似させやがってっ」
「途中から利一さんだってノッてたじゃ」
「うるさい!!」

空気の唸る音に反射的に身を反らせば、背後でなにか硝子細工の割れる音。
岸田の投げた灰皿が、置いてあった花瓶にヒットしたようだ。

「だぁあああああっ!なに避けてんのっ」
「避けるに決まってるじゃないですか、危ない」
「割れちゃったじゃんっ。これ絶対、柏田さんに無表情で請求書突きつけられる!…あぁもう…なに今日。厄日?!」
「利一さんからお金を取ろうなんて思いませんよ。それよりも」
「ん?」

距離を詰め、赤くなった唇に一秒程度のキスを落とす。

「花瓶の分、今度はベッドにいきましょうか」



― END ―



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