キリリク | ナノ


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「そうですか。せっかく50万をチャラにして差し上げようと思ったのに。それにコレは利一さんが食べたがっていた、チョコラティエに作らせた物でしたけど…残念です」

50万弁償がチャラ&世界的に有名な天才職人が作ったチョコ。
ちょっ!すんごい誘惑キタコレ。
どうする!どうする俺!!!
いやいや、だからといって、この等身大チョコを食べるのはかなりの拷問に近い。いやでも50万チャラと天才ショコラティエのチョコ…。

「…これはチョコだ。チョコ以外のなにものでもない……」
「はい、チョコですよ。チョコ以外のなにものでもありません」
「これはチョコ…これはチョコ…」

自己暗示だ。信じろ。信じればなんとかなる。
これはチョコ。ただのチョコだ。いや違う!天才ショコラティエの作った最高級のチョコレートだ!
覚悟を決めてぎゅっと目をつぶり、大口を開けて目の前の巨大なチョコレートに噛みつく。が、ガチリという上と下の歯がぶつかる音がしただけで、口のなかに甘さは伝わってこなかった。どうやら浅北さんが、寸でのところで取り上げたらしい。

「なにすんのっ」
「噛みつき禁止。俺の愛する利一さんが、バリバリ噛み砕かれる様は、ちょっと見たくないんで。ということで舐めて溶かして下さい」
「なに言っちゃってんの!?こんなデカイもん舐めたくらいで食べれるわけないじゃんっ」
「それもそうですね。じゃあ、ここだけでいいですよ」

ここ、と浅北さんが指した先は、予想、苺チョコレートで出来たはりきりサイズのマイサン。
さっきよりもさらに酷く俺の顔が引き攣った。悪趣味にも程がある。ふつふつと湧き上がる怒りに、今度こそ叩き壊してやろうと拳を握りかけるも、鼻先をくすぐる甘い香りにその手を振り上げることは阻まれてしまった。
天才というだけあって、匂いからして一級品。

「…わかった!わかりました!!舐めればいいんだろっ舐めればっ」

自棄だとばかりに怒鳴ると、横倒しにした自分そっくりのチョコレート人形のブツに片手を添えて先端に顔を近づけた。

もうどうにでもなればいい。

浅北さんの視線が気にはなったが、目を閉じてシャットダウンする。
これさえすませれば、あとは俺にとっての好条件だ。
そう自分を励ましながら、口腔の熱でチョコレートを溶かすべく口のなかにピンク色をした棒を銜え込んだ。

あ、うまい…。

舌の上に広がる甘さが、さすがといえる良質。

「美味しいですか?」
「…ん…っ……」

もっとその甘さを味わおうと、唾液を絡めた舌で棒状のソレを舐め上げる。
ただなぞるだけではなかなか溶けず、摩擦と熱によって溶かしてしまおうと念入りにねっとりと舌を這わせていく。

「なかなかに、クる光景ですね」

そんな揶揄を含んだ声を投げる浅北さんの指に口角から滴る唾液を拭われても、チョコレートを貪ることはやめず、ひたすらに動かす舌がペチャペチャという濡れ音を立て、静まり返った室内にやけに卑猥に響く。

「…利一さん、エロすぎです」

呟くと座っていた体勢を崩し、浅北さんが後ろへまわり込んでくる。なに、と思う間に手馴れた所作で下肢を覆う衣服をずり下げられた。
白い双丘の奥の小さな蕾にトロリとした感触を感じると、続いて遠慮のない指が突き立てられ一気に二本をなかに埋め込まれる。

「ゃっ……な、に?…」
「味見」
「味見、って…ァ…ッ…な、んで…俺に…」
「チョコレートよりも、利一さんのほうが美味そうだったので」

奥まで押し入った指が、腹でいい場所を探り当て、強く擦りつけられる。弾かれたように腰が跳ね、ギュウギュウと浅北さんの指を締めつけてしまい、物欲しげな反応に羞恥から顔が熱く火照った。


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