※本誌1058話のネタです。コミックス派はご注意願います。





カライバリ島に来てからというものクロコダイルは、前身であるバギーズデリバリーの頃から放置されていた書類やら新組織としての組織設計、体制管理、人材管理等々に始終追われていた。
何度かストレス発散も兼ねて、バギーズデリバリーの頃に何をやっていたのか?と座長であるバギーをど突いたりもしたがあまり効果はなかった。
ちょうど作業のキリがいいところで手を止めるとデスクの椅子の背もたれに寄りかかる。同時に、まるでそのタイミングを見計らったように控えめなノック音が聞こえてきた。確認するまでもなくクロコダイルはドアの向こうに誰がいるのかは分かっている。名前だ。
部屋に入るようにクロコダイルが促すと大きめなトレーにお菓子を乗せた名前が入ってきた。

「クロコダイルさん、休憩にしませんか?適度に休むのも大切ですよ」

名前はクロコダイルのデスクの手前に設置してあるテーブルへお菓子が乗っているトレーを置くと、食器棚からティーポットとティーカップを取り出しお茶の用意をし始めた。
手慣れているように見えるそれをクロコダイルはぼんやりと眺めながら、名前の言うことにも一理あると休憩することにした。
クロコダイルは、ソファーでティーポットのお茶が蒸れるを待っていた名前の隣へと移動すると腰をおろした。名前の頬が自然と緩む。

「そろそろですかね」

名前がティーポットからティーカップへとお茶を注ぐと甘い爽やかな香りが部屋へと広がる。
紅茶とも違うその香りに、クロコダイルは不思議そうな顔をしていたのかもしれない。

「ハーブティーです」

と、名前が一言。そして、疲労回復に効果があるのだと説明をつけ足した。
また、ハーブティーとお菓子類は仲良くなった元々バギーズデリバリーに所属していた海賊に頼んで買ってきてもらったのだという。先日の面倒ごとに巻き込まれるから一人で出歩くなというクロコダイルの言いつけを珍しく守っているらしい。
名前本人は仲良くなったと口にするが、それだと語弊がある。ターゲットの海賊の情報を調べ上げ、上手く利用した名前が言いくるめたが正しい。
とうに短くはなくなった名前との付き合いで、名前がそういうことをする人間ってだということは知っている。

「懐柔したの間違いだろう」
「あ、バレました?」

悪びれる素振りもなくあっさりと認める名前にクロコダイルは笑いを漏らした。

「それよりもハーブティー飲んでみてください」

どうぞ、と名前からソーサーに乗ったティーカップを差し出されクロコダイルは受け取ると勧められるがままに一口飲み込んだ。
部屋へと広がっていた甘く爽やかな香りが口の中へと広がる。

「どうですか?」
「……悪くねェな」
「よかったです!」

嬉しそうな名前を横目にクロコダイルはもう一口ハーブティーを口に運ぶ。たしかに名前の言うとおりに、疲労回復に効果があるかもしれないと思った。


2022/09/12
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