目が覚めると身体には気怠さが残っていた。
私は、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。どのタイミングで眠りに落ちてしまったのか全く記憶にない。
窓へと視線だけを向けてみるが、閉められたカーテンからはまだ光が差し込んではいなかった。
寝返りをして向きを変える。隣で眠っているだろうと思っていた彼は、起き上がって葉巻を吸っていた。
まだぼんやりとする意識の中で、そのまま彼のことを見ていたら視線が合わさった。

「……起きたのか。体力ねェのは相変わらずだな」
「それは今更じゃないですか……。て、私どのくらい寝てました?」
「数時間ってところだな」
「数時間……え、まさかその数時間ずっとクロコダイルさんは起きてて私の寝顔見てたんですか?」
「馬鹿が……」

彼はすうっと紫煙を吐き出した。
残っている葉巻の長さから推測するに私の目が覚める随分と前から吸っていたことが分かる。
葉巻を吸っているのはいつものことだが、そんなに前から吸っているのならそろそろ飽きてきたのではないのだろうか。いや、それくらいで飽きるのならいつも吸いはしないか。
というか、せっかく目が覚めたのだから構ってほしいというのが本音だ。
相変わらず気怠い身体を起こすと、彼へ近付いて首へと腕を絡めた。

「クロコダイルさん、葉巻じゃなくて私に構ってくれませんかー?」
「クハハ、どうした?珍しく積極的じゃねェか」
「……えー積極的じゃダメですか?」
「そうは言ってねェ」
「じゃあ、今日みたいな私は嫌いですか?」

わざと少しだけ不安そうに言ってみせれば、彼は咥えていた葉巻をナイトテーブルの上に置いてあった灰皿へと押し付けて消した。
再度、紫煙を吐き出すと私の耳元へと口を寄せてくる。

「だったら抱いてねェよ」

掠れた様な低音で囁かれてぞくりとした。
彼は私が絡ませていた腕を解くとそのまま私を組み敷いてベッドへと沈める。
彼の名前を呼ぼうとしたが、それは彼の唇によって遮られてしまった。開きかけた口から彼の舌が入ってきて、私の舌は絡み取られる。
そうやって深く深く口付けられてぼんやりとしてきたところで、思わず薄く目を開けるとカーテンの隙間からうっすらと光が差しているのが横目に入った。


2019/09/23
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -