ごく自然な流れで、ソファーに座っていた彼の膝の上に座らせられて後ろからまるで抱き枕のように抱き締められている。
つけっぱなしのテレビからはコマーシャルが終わり、先ほどまでぼんやりと見ていたドラマの続きが始まっていた。
このままの体勢でも困ることはないのだけれど、私の肩に顔を埋めるようにして抱きついたまま微動だにしない彼を少し心配してしまう。

「えっと……何かあった?」
「……何もありませんよ。いつもアナタもしてるでしょう」

体勢を変えないまま彼が答える。

「えっ私流石にナナミンのこと膝の上に乗せて抱っこしたことないよね?」
「何で疑問系なんですか……」
「もしかしてあったかもしれない?ってなんか不安になっちゃって」
「ないので安心してください」

そこまで言うと、彼は呆れたように溜息を漏らした。

「そうではなくて、充電です」
「充電?ああ、充電ね!」

充電と言われ、ようやく納得がいった。
疲れた時や甘えたい時やその他諸々に、私は彼にくっついて充電だと言って甘やかしてもらっている。
今日は彼の方の充電が必要らしい。このところ残業続きで疲れているのだろう。であれば、いつものお礼に存分に甘やかしてあげようと思う。

「好きなだけ充電どうぞ!」
「ありがとうございます」

張り切ってそう言えば、彼は少しだけ笑みを漏らした。と、同時に、私を抱き締めている腕に少しだけ力が籠ったのを感じた。


2021/01/25

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